素材の味を愉しむ、スペイン料理の魅力

2017.09.21

世界にはその土地の風土に合ったさまざまな料理があります。例えば日本の和食などは、旬の食材に恵まれ、繊細な味付けによって素材の風味をより感じさせてくれます。一方で、遠く離れた国スペインの料理も、オリーブオイルや塩を使ったシンプルな味付けで、和食のように素材の味を引き立たせているものが多くあります。今回はそんなスペイン料理から、ワインとも相性抜群の定番レシピをご紹介します。教えてくれるのは、スペイン・カタルーニャ地方の料理の魅力を多方面で伝えている、ジョセップ・バラオナ・ビニェス氏です。

スペインの生活に欠かせないタパス

スペインの人々にとって欠かせないタパスとは、バルなどで出される小皿料理のこと。タパスに決まった料理はありませんが、ワインに合う煮込みや揚げ物など、小皿によそって食べるような手軽な料理のことをいいます。

「スペインでは、食事と一緒にワインを愉しむのは当たり前。お昼休みにバルへ出かけ、仕事に支障が出ない程度にワインを愉しんだりする人も多いんです」と、バラオナ氏。

仕事の合間のお昼休みが2時間ほどと長いスペイン。そのため、人々はレストランに行ったり家に帰ってしっかり昼食をとります。一方、仕事の終わりが遅い夜は、自宅や、タパスやピンチョスなどの手軽な料理があるバルを渡り歩くなどして、軽めに夕食を済ませます。

バルへ行くときには、食べたいものを予め決める必要がなく、一緒にいる友人や家族とワインを片手に語らいながら、「あの店の煮込みを食べに行こう」「あの店のフリットが食べたい」と、食べたい料理があるお店を巡るなど、食事とワインを愉しむ文化が根付いているのです。

スペイン人の主食?“パン・コン・トマテ”

パン・コン・トマテは、毎日のようにスペインの食卓に添えられる家庭料理です。地元料理の店に行けば、頼まなくても当たり前のように出てきます。

そして、オリーブオイルもまた、なくてはならない存在です。ワインに解禁日があるようにオリーブオイルにも解禁日があり、農家と契約している人は、1年分のオリーブオイルが送られてきます。

エクストラ・バージン・オリーブオイルをたっぷりかけるパン・コン・トマテの基本のレシピは、強火で短時間で焼いたパンににんにくと完熟トマトをこすりつけるという、とてもシンプルなもの。しかし、その上にオムレツや生ハム、チーズをのせれば、立派な一品料理にもなります。

「お店では、焼いたパンの横にガーリックとトマトが添えられて出てくるので、自分好みに仕上げて愉しむのが一般的」とバラオナ氏。

もともとはカタルーニャ地方のものですが、その後スペイン全土に広がりました。パン、トマト、オリーブオイルの組み合わせが体にもよいと、今やスペイン以外でも食されています。

パン・コン・トマテ


<材料>(分量はすべてお好みで)

  • パン(カンパーニュ)
  • 完熟トマト
  • エクストラ・バージン・オリーブオイル
  • にんにく

<作り方>

@パンを厚さ2cmほどにスライスし、オーブンで両面焼く。

A熱いうちに、お好みで、にんにくを両面に軽くこすりつけ、香りをつける。また、トマトは半分に切り、パンの両面にたっぷりこすりつける。

Bエクストラ・バージン・オリーブオイルをたっぷりかけ、塩を軽くふり、温かいうちにいただく。
※ オムレツやハム、チーズなどをのせて食べてもおいしくいただけます。

オリーブオイルたっぷりの焼き野菜“エスカリバーダ”

野菜をよく食べるスペインの人々にとって、エスカリバーダ(焼き野菜)も定番の料理です。

強火で短時間焼くパン・コン・トマテとは対照的に、エスカリバーダは野菜にじっくりと火を通します。直火で焼くことにより、野菜の甘みが存分に引き出されます。

エスカリバーダには、なすとパプリカ、玉ねぎを使いますが、簡単に作りたい場合はなすとパプリカだけでも、カラフルで華やかな一皿に仕上がります。

玉ねぎも使う場合は、皮付きのままアルミホイルで包み、190度のオーブンで90分焼き、粗熱がとれるまでしばらく置いてから、厚く皮を剥いてください。

温かいままでもよいですが、冷蔵庫などで冷やして食べるのもオススメです。
また、カリカリに焼いたパンにエスカリバーダをのせ、さらにイワシのオイル漬けをのせ、上からオリーブオイルをたっぷりかけて、ピンチョスとしていただくのもオススメです。

エスカリバーダ


<材料>(分量はすべてお好みで)

  • 赤パプリカ
  • 黄パプリカ
  • なす
  • エクストラ・バージン・オリーブオイル
  • イタリアンパセリ

<作り方>

@パプリカとなすの表面にエクストラ・バージン・オリーブオイルを少し塗る。

A@を焼き網にのせ、向きを変えながら全体が真っ黒になるまで直火で焼く。

B焼けたらボウルに入れ、ラップでぴったりとふたをし、15分蒸らす。

Cパプリカとなすの皮をとり、長さ6〜7cmの棒状に切る。

Dお皿に盛り付けたらオリーブオイルをかけ、塩、パセリをふる。



たっぷりのオリーブオイルや新鮮な食材を使って作られるスペインの料理。食のライト化が進む中でも、体にもよいということから、今や世界中で愛されています。

シンプルだからこそ味わい深いスペイン料理のおいしさを、ぜひお家で愉しんでみてください。そこにおいしいスペインワインもあれば、きっと素敵なひと時を過ごせるはずです。

(レシピ:ジョセップ・バラオナ・ビニェス)

プロフィール

ジョセップ・バラオナ・ビニェス

スパニッシュ・ガストロノミーの第一人者。スペイン料理の洗練されたピンチョスを初めて日本に紹介し、一躍「ピンチョスブーム」を巻き起こす。
現在、自身のアトリエ“レ・ストゥディ”を主宰するほか、日本を始めとするアジア各国で開催されるスペイン料理のフェアにスペイン政府からの要請で趣き、スペイン&カタルーニャ料理の魅力を伝えている。

取材協力

レ・ストゥデイ

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