卵と醤油だけでつくる、ふわっと軽い「鶏のから揚げ」【今夜のラガーのおとも。#3】

2019.05.16

発売から130年、多くの人に愛されてきた「キリンラガービール」。このビールをよりおいしく愉しむために、料理研究家の瀬尾 幸子さんと“最良のおとも”を考えていく連載企画。

思わずのどが鳴り今夜にでもつくりたくなる、それでいてシンプルで家庭的な"普段着のおつまみ"を、瀬尾さんならではの視点からご紹介します。

第三弾は、卵と醤油だけで下味をつけるシンプルな「鶏のから揚げ」!


プロフィール

瀬尾 幸子

料理研究家。「どこででも手に入る食材でつくる、食べてくたびれない簡単でおいしい家庭料理」を提案している。得意なメニューは「ちゃっちゃとつくってホッとできる家ごはん」や、「なんだか飲みたくなる、おつまみにもおかずにもなる一品」。『ラクうまごはんのコツ』(新星出版社)『かけごはん100』『のっけごはん100』(主婦と生活社)など著書多数。


家飲みにちょうどいい、手をかけすぎない料理

家飲みにおけるおつまみは、一日、二日と間隔を空けてまた食べたくなるような料理が向いています。「いつまでも舌に味が残らない」「おいしすぎない」そんな料理です。

家のごはんは食べてほっとしたり休むことが目的なので、手をかけすぎない普段着のやさしい味わいであるべき。お店とはシチュエーションが違いますから、同じビールのおつまみでも、すっと舌の上から消えるように、いつまでも味の余韻を引きずらない方がいい。つまりは家庭的な味わいです。

今回ご紹介するラガーのおともも、肩の力が抜けてほっとできる味。これ以上ないところまでシンプルに仕上げた「鶏のから揚げ」です。

余計なものをいっさい省いた瀬尾家定番の味

人が集まる家飲みには、一度にたくさんつくることができる揚げものがぴったり。今回はみんなが大好きな鶏のから揚げを、とことんシンプルで簡単につくります。

下味は醤油と卵だけ。瀬尾家の定番の味です。素材が活きるこのつくり方さえ覚えてしまえば、アレンジは後からいくらでもできますよ。

まずは、醤油と生卵を溶いて鶏肉にもみ込みます。あとは小麦粉をまぶして揚げるだけ。お酒も、ニンニクも、ショウガも加えません。

味や香りをプラスするものが何ひとつ入っていない。こう聞くとみんな食べてみるまでは半信半疑。それでも、ひとたび口にすればビックリ。シンプルな味付けでも後引くおいしさなんです。もちろん、ラガーとの相性も申し分ありません。

衣の小麦粉は薄めに。そうすると油をあまり吸収せず、揚げものなのにさっぱり軽い仕上がりになります。油で胃がもたれてしまっては、せっかくの食卓を愉しめませんからね。

また、よく言われているように、衣に片栗粉を入れるとカリッと仕上がりますが、実はそのつくり方は上級者向け。片栗粉は小麦粉よりも粒子が粗く、揚げている間に衣が剥がれやすいので、簡単ではないんです。

おいしくなるコツだけを真似てみても、なかなか上手くはいかないもの。まずは小麦粉だけで上手に揚がるようになってから、片栗粉や米粉を足して自分好みの仕上がりを見つければいい。とにかくシンプルから始めてみましょう。

揚げているうちに鶏肉が浮いてきたら取り出すタイミング。時間で計るよりも、この浮くというサインを覚えておきましょう。中まで火が通った合図です。

私のから揚げは、二度揚げの必要もありません。二度揚げすれば表面はカリッとしますが、そのぶん肉の水分が飛んでしまい、パサパサの食感に。ごはんのおかずにも、ビールのおつまみとしても、やっぱりジューシーなから揚げが一番ですから。

冷めてもおいしいから揚げの秘密

シンプルなのにおいしい秘密は卵にあり。卵が皮膜となって鶏肉をコーティングしてくれるので、油で揚げたときに水分が逃げ出さずジューシーな仕上がりになります。コーティングのおかげで時間が経っても乾かずジューシーなまま、いつまでもおいしい!

ニンニクや豆板醤など香りが強く味の濃いものは、いつまでも舌に味が残ります。その点、このシンプルなから揚げはすーっと引いていく感じ。食卓を囲んでラガーで乾杯する、そんなほっとするひとときにぴったりな、ふわっと軽い揚げものです。

このままでも十分おいしくいただけますが、最後に私のオススメの食べ方のご紹介!衣がびしょびしょになるほどレモンを搾って食べてみて。酸っぱすぎず、さっぱりしていくらでもいけますよ。

鶏のから揚げ

<材料>

  • 鶏もも肉 2枚
  • 卵 1個
  • 醤油 大さじ3
  • 小麦粉
  • サラダ油
  • レモン

<作り方>

@ボウルに卵を割り入れ醤油を適量加えて混ぜ合わせ、4センチ角に切った鶏もも肉を30分ほど漬け込む。

A@の鶏肉の汁気を切って小麦粉を薄めにまぶし、170度に熱した油の中に菜箸でひとつずつ入れる。
※ 鶏肉を入れたときにジュワッと大きめの泡が立ったら適温。泡がポツポツ出ているうちは温度が足りていません。
※ 天ぷらと異なり、続けざまにじゃんじゃん投入してOKです。

B油の表面まで鶏肉が浮いてきたら火が通った合図。取り出して油を切る。

Cレモンをカットし、鶏肉とともに皿に盛り付ける。
※ レモンを横向きに置き中心をX字にカットすると、搾ったときに果汁がたっぷり出るのでオススメです。

甘酢ソースでエスニック風アレンジも!

ちょっとスパイシーなアクセントが欲しいときには、エスニック風のアレンジはいかがでしょうか?汗ばむような陽気の日にオススメです。

鶏もも肉2枚分のから揚げに対し、玉ねぎ1/4個を薄切りにして小さじ1/4の塩で揉み、砂糖大さじ1.5、酢大さじ3、それに赤唐辛子を加えた甘酢をつくります。から揚げの上にたっぷりかけて、パクチーをどっかと盛ればできあがり。小気味良いスパイシーさに、思わずラガーが進みます。

シンプルなつくり方さえ覚えておけば、このように好きに味を足していくことができる「鶏のから揚げ」。その日の気分や食卓に並ぶメニューに合わせて、ラガーと一緒に愉しんでみてくださいね。