忙しい平日の夜に。人気フードスタイリストに学ぶ、ビールがすすむ脱力系レシピ
2019.02.21
一日働いて体はへとへと。だからこそ家に帰ったら、おいしいごはんとビールでリフレッシュしたい。でも手間暇かけた料理をする元気はない…。今回は、そんなときにぴったりの、簡単に調理できてお酒にもよく合うレシピをご紹介します。
教えてくれるのは、インスタグラムで10万人を超えるフォロワーを持ち、活躍の場を広げている人気フードスタイリスト植木 俊裕さんです。
平日夜のためのフライパン料理
―疲れて帰ってくる平日の夜でも、おいしい手づくりおつまみを食べたい。そんなときにはどういった料理が向いているのでしょう?
植木さん(以下、敬称略):平日だからといって手を抜かない…といきたいところですが、さすがにそれだと疲弊してしまいます。だから適度に肩の力を抜いてキッチンに立てるような、さっとつくれるメニューがいいと思います。
―そうですね、でも生ものばかりでは味気ないですし、具体的にいうと例えばどんな料理が考えられますか?
植木:下ごしらえに時間を要するメニューは避けたほうがいいでしょう。最後まで気力が持ちませんからね。さっと焼いたり、炒めたり、タレとからめるような料理はビールとの相性もいいんですよ。
また、市販のものも上手に使って、手間を省くところは省く。そんなメリハリがあるといいのかもしれません。
―では、できるだけキッチンに立つ時間は短く、調理も簡単で、ビールにぴったりなレシピ。植木さん、そんな料理を教えてください!
植木:ここにご紹介する3つの料理は、どれもフライパンひとつで調理ができます。アレンジも自在なので、旬の味覚を取り入れたり、色味や好きな食材をひと足しすることもできる。忙しい平日の夜にぴったりですよ。
下ごしらえが少なく、フライパンひとつでできる料理。ここからは植木さんに実際に3品つくっていただきながら、おいしくつくるコツも簡単に教えてもらいました。
ごま油の香ばしさとチーズのコク。小松菜とチーズのチヂミ
まず植木さんが「JPL(ジャパン・ペールラガー)」とのペアリングに選んだ料理が、小松菜とにんじんにチーズを加えた“チヂミ”。市販のチヂミ粉を使えばあとは材料を混ぜ合わせるだけ。腹持ちのいい、主食にもなるおつまみです。
チヂミのごま油の風味とチーズのコクが、香ばしい味わいと上質なキレの「JPL」にぴったり。ビールのお供として間違いなしの一品です。
<材料>(分量はすべてお好みで)
- チヂミ粉
- 小松菜
- シュレッドチーズ
- 卵
- にんじん
- ニラ
- ごま油
- (つけダレ)
- 醤油
- 酢
- 砂糖
- ごま
<作り方>
@チヂミ粉に卵を割り入れ、水を加えてダマができないように混ぜる。
A細切りにしたにんじん、小松菜、シュレッドチーズを加えてざっくり混ぜる。
Bフライパンにごま油を熱し、Aを流し入れ形を整える。
C中火で焼き色がついたら裏がえす。
D仕上げにごま油をフライパンの淵に回し入れ、生地に馴染ませる。
E食べやすい大きさにカットし、器に盛りつければできあがり。
植木:ごま油は火を入れていくと香りや風味が飛んでしまうため、焼き上がりの最後にもう一度、ぐるっとフライパンの淵から入れ、生地に馴染ませます。こうすることで香ばしいゴマの風味が際立ってきます。
チヂミに入れる野菜は細切りにしておけば、完全に火が通らなくても食感を楽しめると植木さん。チーズのとろみとシャキッとした歯ごたえのコントラストが味わえるので、焼き加減を気にしすぎずに気楽につくりましょう。
チーズのコクと喧嘩しないよう、つけダレは醤油、酢、砂糖にごまを浮かべ、シンプルに仕上げるのがオススメです。
もっちりとシャキシャキ。食感を楽しむパッタイ
フルーティーで華やかな香りと上質な苦味が重なり合う「IPA(インディア・ペールエール)」には、具沢山のパッタイをチョイスした植木さん。
パッタイのしっかりとした味付けとエスニックな風味を「IPA」が引き立ててくれます。パクチー特有の香りにもよく合います。
<材料>(分量はすべてお好みで)
- 豚肉こま切れ
- エビ
- 米麺
- 卵
- ニラ
- もやし
- パクチー
- ピーナッツ
- 油
- (合わせ調味料 2名分)
- ナンプラー 大さじ2
- オイスターソース 大さじ1
- 酢 大さじ1
- 三温糖 小さじ2
<作り方>
@ぬるま湯に米麺を20分ほど浸してもどす。
Aナンプラー、酢、三温糖、オイスターソースを混ぜ合わせ、合わせ調味料をつくる。
Bフライパンで豚肉を炒め、火が通ったところでエビを入れる。
CBをいったん取り出し、フライパンに油を加えて強火で熱し、卵を溶き入れる。もどした米麺の水気をよく切り卵と一緒に炒める。
Dフライパンに豚肉とエビを戻し入れ、Aを全体に絡める。
Eニラともやしを加えて軽く炒めたらできあがり。仕上げにパクチーや砕いたピーナッツをちらし、レモンを搾ってどうぞ。
植木:手に入りやすい乾麺を使う場合、沸騰したお湯で米麺をもどすより、ぬるま湯でじっくり20分ほどもどしたほうが、本場の生麺のようなもっちりとしたコシが生まれます。具材の下準備を始める前にもどしておけば、調理時間も短縮できますよ。
また、合わせ調味料を麺と具材に絡めたあとにニラやもやしを投入することで、シャキシャキ感が残りおいしく仕上がるそう。最後にフライパンをひとあおりするタイミングがベストです。
にんにくの香りが食欲をそそる。タコとブロッコリーのペペロンソテー
最後は、白ワインのようなフルーティーな香りとやわらかな口あたりの「WHITE ALE(ホワイトエール)」に合うおつまみ。にんにくと唐辛子を効かせた“タコとブロッコリーのペペロンソテー”です。
ほどよい辛さとにんにくの香りが、食欲をそそります。ヘルシーな一品ですが、噛めばはじき返してくるタコの弾力と、歯ごたえを残したブロッコリーで、食べごたえは十分。
白ワインにもよく合いますが、今晩は白ワインのような香りのビール「WHITE ALE」で。
<材料>(分量はすべてお好みで)
- 蒸しタコ
- ブロッコリー
- にんにく
- 鷹の爪
- オリーブオイル
- ブラックペッパー
<作り方>
@ブロッコリーを小房に分け、お湯を沸かして塩を振り、2〜3分茹でる。
Aフライパンにオリーブオイルとスライスしたにんにく、鷹の爪を加えて弱火で熱する。
Bにんにくから香りが立ちきつね色になったら取り出し、タコ、ブロッコリーを加えて炒める。
Cオリーブオイルが全体に絡んだらにんにくを戻し、お皿に盛り付けてできあがり。
植木:にんにくにじっくり火を入れることでオリーブオイルに香りを移していくのがアーリオ・オーリオにおけるもっとも重要なポイントです。火が強すぎてはにんにくを焦がしてしまうので、弱火で焦らずにじっくりと。
香りが立ちきつね色に変わったタイミングで、にんにくだけ取り出しておけば、火が入りすぎる心配もないと植木さん。あらかじめにんにくと鷹の爪を漬け込んだガーリックオイルをつくって常備しておけば、調理がもっと楽になります。
簡単おつまみで、平日夜の楽しみ方が変わる
平日の夜は出来合いの惣菜で済ませたくなる時もありますが、一日頑張ったからこそ、おいしい料理とビールで自分を労ってあげたいもの。自分にちょっとしたご褒美をあげるような感覚で今回のレシピを取り入れてみると、平日の夜がより充実したものになるのではないでしょうか。
必要なのはフライパンひとつだけ。肩の力を抜いて、さっと気軽につくってみてくださいね。
プロフィール
植木 俊裕
料理家・フードスタイリスト。グラフィックデザイナー時代からインスタグラム (@utosh) で料理写真を投稿。人気のハッシュタグ「#とりあえず野菜食」を発案し、多くのユーザーからの投稿を集める。著書に『とりあえず野菜食BOOK』『盛りつけエブリデイ』。器や海外のインテリア雑貨を取り扱うライフスタイルストア「TREE&TRUNK」を運営。