世界の大人を魅了する、シェリーの愉しみ方
2018.06.07
照りつける太陽にフラメンコの歌と踊り…“情熱の国、スペイン”のイメージが凝縮された、スペイン南部アンダルシア地方の街、ヘレス・デ・ラ・フロンテラ。そんな素敵な街で生まれ、今や世界中で愛されているお酒、シェリーをご存知ですか?20世紀の巨匠、スペイン出身のピカソは、シェリーをこよなく愛していたと言われています。そして現代でも、ロンドンの若者をはじめ世界中で親しまれています。スタイリッシュな大人たちを常に魅了し続けるシェリーの魅力とは、一体どんなところにあるのでしょうか? 今回はそれを紐解き、大人ならではのシェリーの愉しみ方をご紹介します。
独特な個性で世界の大人を魅了するシェリー
シェリーは、そのアルコール度数の高さからリキュールや蒸留酒に分類されがちですが、実はワインの一種。そして、アンダルシア州の“ヘレス”周辺の定められた地域でつくられたものしか“シェリー”と名乗れないという希少性を持っています。
シェリーのアルコール度数が高いのは、ワインを蒸留したブランデーを醸造過程で添加した酒精強化ワイン(※)だから。ポルトガルのポートやマデイラとともに、世界3大酒精強化ワインのひとつとされています。
酒精を強化するのは、味わいと香りの維持、保存管理のためでもありましたが、それがシェリー独特の味わいをも生みだしています。
ブランデーでアルコールを強化したことによるドライな味わいから、シェリーは飽きずに長く飲めるお酒とも言われています。また、海からの風が届く地域・ヘレスで生まれたからか、ほんのり潮風を思わせる爽やかな香りも感じられ、暑い時期に海やBBQなど外で愉しむのにもぴったりなのだとか。
そんなさまざまな特長をもつシェリー。独特な個性をもっているからこそ、世界中の大人たちを魅了してきたのでしょう。
※ 醸造過程でアルコール(酒精)を添加することでアルコール度数を高めたワイン。
シェリーの代名詞「ティオ・ペペ」
シェリーの存在を世界中に広めたのが、スペインのワイングループであるゴンザレス・ビアス社の「ティオ・ぺぺ」。スペイン人なら8割がその名を知る国民的なお酒であり、同時に、今や世界75ヶ国以上の人々に飲まれているシェリーのトップブランドです。
シェリー特有の香りと、黄金色に輝く優雅な色合いが特長で、世界中のレストランで食前酒の定番としても選ばれています。また、食後酒、あるいはデザートにも使われるなど、バーではもちろん、自宅でも自由なスタイルでカジュアルに愉しまれています。
誰にでもマッチする、愉しみ方の幅広さもまた、シェリーの魅力のひとつと言えるでしょう。
日本ではまだ通好みな印象の強いシェリーですが、このような特長をもつ「ティオ・ぺぺ」なら、初めての方もきっと自分好みの飲み方が見つかるはずです。それでは実際に、どんな風に愉しむことができるのか、ご紹介しましょう。
一流のバーテンダーが教える「ティオ・ぺぺ」の愉しみ方
ストレートで飲んでもよし、カクテルにしてもよし。シェリーにはさまざまな愉しみ方があります。そこで今回は、銀座の大人たちにシェリーをサーブし続けてきた「BAR GOYA (バー・ゴヤ)」のオーナーバーテンダー・山ア 剛さんに、「ティオ・ペペ」の愉しみ方を指南していただきました。
山アさん(以下敬称略):
「シェリーには甘めのものもありますが、『ティオ・ペペ』は白ワインと同じように酸味がしっかり感じられ、口の中をすっきりとさせてくれるのが特長です。スペイン人がオイル煮や揚げ物などと『ティオ・ぺぺ』をよく合わせるのも、このすっきり感がそういった食事にマッチするからと言えます」
山アさんから食事の話題が出たところで、「ティオ・ぺぺ」にぴったりのおつまみはどんなものがあるか、オススメを聞いてみました。
山ア:
「ストレートで愉しむなら、やはり同じスペイン産の生ハムは定番ですね。塩気と熟成した味わいが『ティオ・ぺぺ』と抜群に合います。また、スペインチーズの代表ともいえる、羊乳からつくられるマンチェゴチーズなんかも合うと思います。カリンや洋ナシのジャムと一緒に、チーズのクリーミーさと甘味を楽しむのがオススメですね。羊乳チーズ特有のコクとミルキーさが『ティオ・ぺぺ』の爽やかさと合わせることで、心地よい余韻に浸れます。また、実はどんな食事にも合うのが特長で、意外にも塩辛や酒盗など、日本人がよく食べている個性の強いものにもとてもマッチします。フレンチの世界でシャンパーニュが前菜からメインまで何でも合うと言われるのと同じように、『ティオ・ペペ』も魚介はもちろん、肉や米料理などどんなものと合わせても大丈夫。しっかりとした個性があるのに料理の邪魔をしないのが『ティオ・ぺぺ』なんです」
食事と合わせてストレートで愉しむだけでなく、「ティオ・ぺぺ」はカクテルでも愉しめます。今回は「ティオ・ペペ」でつくるカクテルをふたつ、山アさんにご用意いただきました。ご自宅でも手軽につくれるので、ぜひ試してみてください。
爽快感をより愉しめる手軽なカクテル
「ティオヒート」
この「ティオヒート」は、へレス地方の定番カクテル「レブヒート」を、「ティオ・ペペ」をベースにして作る、爽やかでさっぱりしたカクテルです。「ティオ・ペペ」の淡く黄金色の色合いが、炭酸とともに美しく輝きます。
<作り方>
@広口のグラスに氷を入れて、レモンを1/8ほどにカットして搾り入れます。
A冷やしたティオ・ペペを注ぎ、ソーダ(ティオ・ペペ1に対して1.5の割合)を注ぎます。
※ 使用するソーダは「KIRIN yosa-soda」がオススメ。
B軽くステアして混ぜたあとは、仕上げにレモンの皮を上から絞ることで、さらに香りを加えて完成。
ご家庭で作るときには、レモネード系のソーダを用意して割るだけでも簡単にできます。手軽でありながら、味わいは本格的。友人や家族に作ってあげると喜んでもらえること請け合いです。
道具を選ばず幅広い味わいを試せるカクテル
「シェリーツイスト」
好きなリキュールを何でも合わせて愉しむ、万能スタイルのカクテル「シェリーツイスト」。ご自宅でも気軽に愉しめるように、今回は、杏(あんず)のお酒「杏露酒(しんるちゅう)」で作ります。
<作り方>
@ワイングラスを用意し、杏露酒1(一般的なワイングラスで10〜15ml)に対してティオ・ペペ5くらいの割合で注ぎ、グラスをスワリングして(回して)馴染ませます。
A氷を入れて、グラスを再度スワリングして軽く冷やします。
B仕上げに、オレンジやレモンの皮を絞る=ツイストして香りを足せば完成。
「シェリーツイスト」は道具がなくても手軽にできるカクテルです。グラスにツイストした果実の皮をひっかければ、雰囲気もお洒落に。果実の香りと一緒にカクテルを愉しめますし、皮をグラスの中に入れてほんのりとした苦味と一緒に味わうのもオススメ。
合わせるリキュールを変えてみたり、最後に足すフルーツをレモンやライムにしてみたりなど、さまざまな愉しみ方を試してみてください。
自宅で愉しむなら、このグラスとともに
せっかく自宅でシェリーを愉しむなら、バーさながらの専用グラスを用意すると、気分も一層高まります。
DRINXで販売しているグラスセットは、オリジナルのワイングラス、カクテルグラスがセットになっているので、ストレートでもカクテルでも、お好きなスタイルを雰囲気あるグラスで愉しめます。
さまざまな飲み方を試してみて、自分にぴったりなシェリーの愉しみ方を見つけてくださいね。
プロフィール
山ア 剛 Tsuyoshi Yamasaki
銀座の名門バーで13年間勤務後、独立し2018年「BAR GOYA(バー・ゴヤ)」をオーナーバーテンダーとしてオープン。2007年 第一回「シェリー・カクテル・コンペティション」グランプリ、2008年「ベネンシアドール公式称号資格認定試験」最優秀賞というシェリー界ただひとりの二冠王者。
取材協力
BAR GOYA(バー・ゴヤ)