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世界に羽ばたけ、日本ワイン!
2016.07.06
間もなく地球の裏側が、世界中の熱気を集めて沸騰する季節。今年の夏は例年以上に熱くなりそうです。そこで7月と8月は夏合併号として、“世界に羽ばたけ、日本ワイン!”と題し、日本ワイン特別応援企画をお届けします。シャトー・メルシャンが世界に誇るこだわりの日本ワイン。世界のコンテストで受賞したアワードワインもラインナップ。いま、日本ワインが熱く、そしてウマい!夏の日本ワインをさらにおいしくするための「和の一皿」とご一緒にお愉しみください。

「シャトー・メルシャンでは、毎年10コンクール程度にエントリーを計画します。フランス、イギリス、香港など、世界のワイン業界で最も注目されるコンクールを選んでエントリーしています。もちろん金賞受賞のためにワインを造っているわけではありませんが、今後のワイン造りの参考にするため、またシャトー・メルシャンの品質を世界にアピールする良い機会とも捉えています」と語る黒田さん。コンクールの評価傾向を分析して、独特の味わいを持つ甲州ワインをエントリーしたり、熟成した赤ワインを世界に送り出すのも彼の仕事の一つです。
「今は、近年O.I.V.登録された日本固有品種の“甲州”と“マスカット・ベーリーA”で造ったワインを認知してもらい、金賞受賞を狙っています。
ワインをシャトーから出荷する時には、ちゃんとお見送りもして、魂も込めますよ」。日本ワインをこよなく愛し、その深い愛情の分だけ、シャトー・メルシャンのワインに対して厳しい品質管理の視線を注ぐ黒田さん。
「一昔前は、白ならブルゴーニュ、赤ならボルドーといったように、力強いワインが高く評価される傾向にありましたが、最近では世界の食に対する意識も変わり、より繊細でエレガントな日本ワインの評価が高まりつつあるのを実感します」。和食とともに、世界でその真価に注目が集まる日本ワイン。シャトー・メルシャンの“品質の門番”とも言うべき黒田さんお薦めの逸品で、日本の夏を大いに愉しみましょう。
シャトー・メルシャン 品質管理課
1992年入社。メルシャン藤沢工場でデイリーワインの品質を管理する業務に携わり、2013年より現職。
主にシャトー・メルシャンのワインの品質管理と、海外の国際コンクールへのエントリーなどを担当。DRINXでは、世界における日本ワインの現状などについても熱く語っています。
日本の夏の風物詩とも言える枝豆。枝豆には喉越しの良いビールも良いですが、日本の泡もなかなかのもの。シャトー・メルシャンでは、スパークリングワインを「日本のあわ」シリーズと称して、日本ワインならではの個性を活かしたワイン造りを展開しています。
『勝沼のあわ』は、2015年の香港インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティションで“金賞”と“ベスト日本ワイントロフィー”のダブル受賞を果たした国際アワードワイン(出品は2014年ヴィンテージ)。今年、その品質の高さはそのままに、装いも新たに『日本のあわ 勝沼甲州』としてリリースされました。

日本固有のブドウ品種、山梨県勝沼産の甲州を主体としたスパークリングワイン。「甲州というブドウは、後味に若干の苦みがあり、それが炭酸と合わさることにより、ひときわ爽快なワインに向うんです」と、その爽快感は黒田さんのお墨付き。
穫れたての枝豆をちょっと固めに茹で上げて、パラパラッと塩を振る。甲州の個性がいきいきと息づく『日本のあわ 勝沼甲州』をポンッ!とあけて、さぁ、日本の夏とワインを思いきり味わい尽くしましょう。
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甲州と並んで、世界が注目する日本固有のフドウ品種がマスカット・ベーリーA。
欧州系高級品種ピノ・ノワールにも似ていることから“オリエンタル ピノ・ノワール”と称されることもあります。
マスカット・ベーリーAは昭和の初期、交配により生まれた日本固有のブドウ品種で、山梨県で多く栽培される赤ワイン用ブドウ。『シャトー・メルシャン 穂坂マスカット・ベーリーA 2012』は、2016年のSAKURAジャパン・ウーマンズ・ワイン・アワードで“金賞”を受賞した、とてもエレガントなワインです。「特に穂坂地区のマスカット・ベーリーAは、樹齢も15年くらいで今が最も良い時期」と黒田さんも太鼓判を押す。
そのマスカット・ベーリーAをオーク樽の中で時間をかけて育成し、果実の凝縮感と力強い酸を持つワインに仕上げました。「いちごをスパッと切ったときの、華やかでみずみずしいキャンディのような香りがとてもチャーミング!」。
味わいは重くはないものの、うま味も飲みごたえもしっかりあるので、ぜひ和の定番とも言える、こってりタレがきいた焼き鳥などと合わせて愉しんでみください。
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3月から始まったこの「マンスリー・シャトー・メルシャン」でも、既に何度も紹介してきた日本ワインの代表選手ともいえる甲州。中でもシャトー・メルシャンが自信をもってお薦めしたいのが、山梨県勝沼地区の甲州ブドウ100%で造られた『シャトー・メルシャン 勝沼甲州セレクテッド・ヴィンヤーズKWC 2015』です。
KWCとは「勝沼ワイナリーズクラブ」の略。ワイン造り120年の歴史を誇る勝沼で、地元のワイナリーが集まって1987年2月に結成された勝沼ワイナリーズクラブ。現在も9社が力を合わせ、世界に、そして未来に向けて、個性豊かなワイン造りに努めています。
口の中には、しっかりとした酸味を感じた後、骨格のある複雑な味わいが広がり、甲州ならではの爽やかさの中にも、濃縮感が感じられるこのワインに黒田さんが合わせたのは、意外にもチラシ寿司。これぞ日本ワインの真骨頂とも言えるマリアージュです。
「お寿司に使うお酢の独特の酸味と甘みが、実は甲州によく合うんです。ご飯との相性の良さも日本ワインならでは」。実はお鮨屋さんで日本ワインを出すお店も増えているのだとか…。和食と日本ワインで愉しむ夏。ちょっと粋でオシャレな食卓を、あなたもぜひ!
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【ワインを愉しむ基礎知識】
日本ワインが世界へ進出するきっかけを創った「KOJ」
近年、世界のワインマーケットでも、日本ワインに注目が集まるようになりつつありますが、2010年に日本固有品種の「甲州」がO.I.V.(国際ブドウ・ブドウ酒機構)に登録認証されたことが、その発端とも言われています。
O.I.V.とは、「Office International de la vigne et du vin」の略称で、ブドウ栽培やブドウ品種、ワイン造りに関する
総合的な研究機関のこと。フランスに本拠を置き、各種統計の発表や、研究集会を開催するほか、ブドウ栽培、ワイン醸造、ラベル表示などに関する基準の制定も行っています。EUにおいては、O.I.V.が、独自のブドウ品種として認めたブドウの名前だけを、ワインラベルの品種名に表示できることになっています。これによって、日本固有のブドウ品種名を表示したワインが、はじめてEUで販売できるようになったのです。
実はこの甲州のO.I.V.登録の陰には、「KOJ(Koshu of Japan)」プロジェクトの地道な活動がありました。KOJは、日本のワイン生産地である山梨県内のワイン生産者15社と甲州市商工会、甲府商工会議所、山梨県ワイン酒造協同組合によって2009年7月8日に設立された団体です。この団体は、日本を代表する「甲州」の品質向上をはかり、世界市場において甲州ワインの認知を向上させることを目的として発足。2010年から、多くのワインが輸入されている英国でのPRを皮切りにEU諸国でのプロモーション活動を積極的に展開してきました。その努力の甲斐もあって、2010年に甲州が、O.I.V.に登録認証されることになったと言われています。また、その後2013年には、マスカット・ベーリーAもO.I.V.に登録認証され、日本固有のブドウ品種が世界に認められるようになりました。
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【産地】山梨県甲州市勝沼地区
【使用品種】甲州
【発酵】ステンレスタンク主体
【育成】ステンレスタンクおよびオーク樽
【テイスティングノート】
液色はゴールド。
メロン、バナナを連想させる爽やかな香りとレモン、洋梨など果皮の黄色い果実をほのかに感じられます。
細かい泡と共に弾けるような炭酸ガスが口中に広がった後、甲州の果皮に由来する若干の収れん味がアクセントとして現れます。
【マリアージュ】
サラダ類、和食、中華、洋食と種類を選ばず様々な料理とよく合います。 -
【産地】山梨県韮崎市穂坂地区
【使用品種】マスカット・ベーリーA 100%
【発酵】ステンレスタンク
【育成】オーク樽 約20ヶ月
【テイスティングノート】
液色は濃い赤紫色。
チェリーやイチゴのような赤い果実とともにプルーンのような黒い果実の香りも感じ取れます。
穂坂の産地に由来する心地よい酸味と長期樽育成に由来するヴァニラ、カフェなどの香りがバランスよく口中に広がります。
ハーブのようなニュアンス、やさしい果実味と重厚な味わいが余韻として感じられます。
【マリアージュ】
しょうゆやみりんを使った家庭料理との相性は抜群。タレを付けたやきとり、地鶏の照り焼き、肉じゃがや筑前煮のような煮物などともよく合います。 -
【産地】山梨県甲州市勝沼地区
【使用品種】甲州100%
【発酵】オーク樽
【育成】オーク樽 約5ヶ月
【テイスティングノート】
液色は淡い黄色。
青リンゴ、かぼす、すだちなど爽やかな和柑橘の香りとともに樽発酵に由来するヴァニラ、アーモンドなどの香りがバランスよく立ち上ります。糖度の高い畑を選定し、単一畑での醸造を行っているため、充実した果実感が口中に広がります。
【マリアージュ】
グリーンサラダ、お刺身全般、タラのグラタン、サワラの西京焼、白イカのソテー、魚介類のパエリヤなど、香ばしさを伴う海産物とよく合います。
日本ワインが世界へ進出する
きっかけを創った「KOJ」