実りの秋到来!果物を最高のおつまみにする、簡単で不思議な組み合わせの法則

2019.09.12

畑の作物が豊富に実り、この時期にしか味わえない旬の食材が市場に並ぶ秋。食卓も賑やかになり、いつも以上に食べる楽しみが感じられます。
「せっかくなら、美味しいお酒と一緒に秋の味覚を楽しみたい」ということで、家で飲むお酒も食べ物に合わせて選ぶ機会が増えるのではないでしょうか。
そこで今回は「秋の果実とお酒」をテーマに、DRINXのワイン担当者の丹尾と伊藤、ビール担当者の柳の3人が様々な食材とお酒を用意して、秋ならではの美味しい組み合わせを探してみました。


プロフィール

丹尾 健二

DRINXのワイン・ウイスキー担当。
一般社団法人日本ソムリエ協会認定ソムリエ。キリンビールに入社後、営業やリサーチ業務を経てDRINXに。お酒は何でもマルチに楽しむが、最近のお気に入りはシェリー。釣りとボードゲームを愛する草食系。


プロフィール

伊藤 佳奈子

DRINXのワイン・ウイスキー担当。
一般社団法人日本ソムリエ協会認定ソムリエ。キリンビールに入社後、ビールやワインなどの酒類の営業や企画、メルシャンのデジタルマーケティングを担当したのちDRINXの担当に。「ワイン、ウイスキーをもっと楽しく」をモットーに商品企画やコンテンツ施策を担う。


プロフィール

柳 裕行

DRINXのクラフトビール担当。
クラフトビールはもちろんのこと、日本酒やハイボールも嗜む。一番好きなペアリングは「シナモンクッキー×グランドキリン IPA」。最近のマイブームは動画配信サービスを見ながらクラフトビールとスイーツのペアリングを楽しむこと。


食事とお酒の相性は“色”、“土地”、“味わい”で見る!

左から、丹尾、伊藤、柳

—今回は「秋の果実とお酒」がテーマなのですが、前回ワイン担当の2人には「ワインと食事が“合う”という感覚」についてお話を伺いました。相性のよさ判断するためのヒントは“色”、“土地”、“味わい”という3つの項目で共通点を見つけることでしたが、ビールと食事の相性を見るときも、この基準は当てはまりますか?

柳:そうですね。ビールも濃い色のモノは、色の濃い食べ物と合いますし、逆も然りです。なので、黒ビールはチョコレートに合うし、白ビールはチーズと合います。
あと、揚げ物って普段よく飲むピルスナーと合うじゃないですか。あれも実は色が一緒なんですよ。

—確かに!色の法則は、ビールにも有効なんですね。

柳:土地という意味でも、やっぱりドイツの料理にはドイツビールが合うし、日本の料理には日本のビールが合いますよね。
味わいについても、ラガーの苦味は香ばしい焼き物とピッタリだし、苦味の少ないホワイトエールなんかは、果実の甘さともしっかり調和してくれます。

丹尾:食事と“合う”という感覚の基本は、ワインもビールも同じですね。だから、ワインも果物と合わせるならフルーティーな白が合いやすいのではないかなと思います。

伊藤:赤だと果物よりもワインの方が強く感じることが多いかもしれませんね。

—では、その辺りを踏まえて、実際に秋の果実とお酒を味わっていきましょう!今回は、5個の果実を使ったおつまみをご用意いたしました。

栗の香ばしさと調和する、クラフトビールの苦味とボディ感

−1品目は栗です。「秋の味覚といえばコレ!」という方も多いのではないでしょうか。今回は、『栗ご飯』と『焼き栗』を用意しました。

丹尾:これぞ秋って感じですね。

伊藤:美味しそう!

—栗には、どんなお酒が合いますかね?

柳:栗には『496』が合うと思います。このビールはラガータイプで、苦味や飲みごたえがしっかりしているので、香ばしい味わいと合うんですよ。きっと、栗の香ばしさと『496』のしっかりしたボディ感が調和して、美味しいと思います。

伊藤:最初から楽しみですね!

柳:ビールと食事のペアリングは、ビール、食べ物、ビールの順番で口に入れると、よりはっきりと美味しさが感じられると思います。
最初にビールを飲むと口の中に香りが残って、そこに食材の香りが入ると、調和が生まれます。さらに、ひと口ビールを飲んで食材を流し込むと、今度は喉のところでまたペアリングが楽しめるんです。

—2段階で別々のペアリングが味わえると。

柳:そうですね。口の中と、喉の奥で、それぞれ異なるペアリングが楽しめます。

丹尾:あぁ、これは美味しいわ。最初に栗を食べたときにも、香ばしさとビールのボディ感が合うなって感じるんだけど、更にビールを飲むと喉で栗の香ばしさが復活する感じがします。

伊藤:私はひと口目の方が合うなって感じがしましたね。栗って噛めば噛むほど甘くなってくるので、どちらかというと香ばしさはひと口目の方が強く感じました。

丹尾:もう少し何か足してもいいかもね。醤油とかどうだろう?

柳:いいですね。やってみましょうか!

丹尾:あ!これ、めちゃくちゃ美味しいです。醤油によって、おつまみ感が増しますね。

伊藤:本当だ。醤油をかけたら、香ばしさが復活するのを感じました。美味しい。

—醤油のどんな要素が、栗とビールの相性を高めているんですかね?

柳:醤油のしょっぱさをビールが中和してくれて、同時に醤油の香ばしさを引き立ててくれるんだと思います。それで、ちょうどいい味わいになるのかなと。

丹尾:そうですね。これは、栗ご飯にかけてもいいかも。

柳:栗ご飯の場合、ちょっと香ばしさが足りないので、そこにゴマをかけたりすると、もっと美味しくなると思います。

丹尾:あ〜、確かに。ゴマがいい感じ。やっぱり、香ばしさとビールの苦味は合いますね。

伊藤:ゴマと醤油を合わせることで、焦がし醤油みたいな味わいになりますね。香ばしさが強くなって、『496』のいい苦味が引き立ちます。

白ワインが引き立てるリンゴや梨のジューシーな果実味

—続いての果物はリンゴです。カマンベールにスライスしたリンゴをのせて、上からローストナッツとハチミツをかけています。

丹尾:これはワインかな。『シャトー・メルシャン 萌黄』あたりは相性いいかも。

―『シャトー・メルシャン 萌黄』は、どういうワインなんですか?

伊藤:これは日本の白ワインなんですけど、甲州とシャルドネという品種がブレンドされていて、爽やかさとふくよかさを併せ持った味わいが特徴です。すごく万能だし、飲みやすいですよ。

―ワインのペアリングをするときも、ビールと同じようにワイン、食べ物、ワインという順番がいいですか?

丹尾:ワインはサンドイッチするというより、食材の風味が口の中に残っているうちに、飲むのがいいと思います。

伊藤:これはリンゴの酸味や果実感が、白ワインとぴったり合いますね。リンゴの味もワインの味も、両方が際立ってる。
あとはナッツの芳醇な味わいが、シャルドネのリッチさとマッチしていますね。

丹尾:ナッツやリンゴのサクッとした食感が、白ワインと合いますね。クリスピーな食感は、赤のジューシーな感じよりも、白のスッキリ感との方が合うと思います。

柳:これはきっと、赤ワインと一緒に食べるとチーズとワインが際立っちゃって、リンゴが隠れてしまう気がしますね。『萌黄』は、チーズの後に味わいがやってくるので、酸味や果実感がちゃんと感じられます。

柿とIPAのクセ者同士が織り成す豊かな戻り香

―続いては柿です。『干し柿を加えたキャロットラペ』を用意しました。

丹尾:これは何と合うだろうね?ビールかな?

伊藤:ちょっと食べてみましょうか。

丹尾:あ、クミンが入ってるんですね。これはIPAでしょ!

柳:ちょっとエスニックな感じですか?それならIPAと合うかも。

—では、『グランド キリン IPA』と合わせてみましょう。

伊藤:あー、これはもう香りの相性が間違いないですね。

柳:柿って香りに特徴があるじゃないですか。IPAも香りにクセがあるので、いいバランスでマッチングしますね。あとはクミンもエスニックで、クセのある香りだから、クセが掛け合わされてちょうどいいバランスの味わいです。
ここにクセのないあっさりした食材が入ると負けちゃうから、これくらいクセ者揃いの方がいいですね!

丹尾:この組み合わせは、後味がすごくいいですね。余韻がすごく美味しい。

伊藤:鼻に抜ける美味しさというか、“戻り香”がすごくいいですね。

—“戻り香”って何ですか?

伊藤:香りの感じ方って2種類あって、ひとつは鼻から嗅ぐ香り。もうひとつは“戻り香”といって、食品を口に入れて、その香りが喉の奥から鼻に抜けていくときに感じるものがあるんです。
『干し柿を加えたキャロットラペ』と『グランド キリン IPA』の組み合わせは、その“戻り香”がすごくいいです。

丹尾:僕もそう思います。最初は柿やクミンの香りがふわっとくるんだけど、戻り香はビールと食材が混じり合って抜けていくので、すごくまろやかになってる。

柳:クミンが戻り香を増幅させる役割を担っていますよね。普通のビールってスッキリしすぎていて、スパイスが勝っちゃうんですけど、IPAは香りが強いのでうまく調和するんだと思います。だから、スパイスとビールの香りが複雑に組み合わさって、美味しさを感じさせるんでしょうね。

大学芋の甘みと苦味が掘り起こすワインの香り

―次は、果実ではないのですが、秋の味覚の代表格でもある『サツマイモ』です。大学芋にカスタードクリームとシナモンをのせました。

伊藤:これは『ロバート・モンダヴィ プライベート・セレクション バーボン・バレルエイジド シャルドネ』と合わせてみたいです。

丹尾:『バーボン・バレルエイジド シャルドネ』は合いそうだね。

—『ロバート・モンダヴィ プライベート・セレクション バーボン・バレルエイジド シャルドネ』は、どんなワインなんですか?

伊藤:これは、その名の通り、バーボン樽で熟成させた白ワインです。バーボン・バレルエイジドワインは新しいスタイルのワインのため、ワインメーカーの自由な発想で色々な製法が可能なのですが、このワインはバーボン樽で熟成させたものと、ワイン樽で熟成させたものとをブレンドして調和をとっています。中のワインはシャルドネを使ったものなんですけど、元々のブドウが持つリッチな味わいに、バーボン樽由来のバニラ香が加わって、クリーミーな仕上がりになっています。

丹尾:バーボンとワインの良いとこ取りみたいな感じだよね。

伊藤:ですね。『バーボン・バレルエイジド シャルドネ』は、バニラのような甘い樽香が特徴なんですけど、この大学芋も甘い香りだし、それだけでも相性はバッチリだと思います。
味も、両方ともしっかりしたものなので間違いなく合うんじゃないかと。

丹尾:うん。焦がした感じというか、キャラメル感が両方ともにあって、すごく合うね。おそらく、それを醸し出しているのはカスタードクリームだと思うんだけど。わかりやすい共通点がたくさんあるから、納得って感じの組み合わせだね。
あと、『バーボン・バレルエイジド シャルドネ』は甘みを感じるんだけど、最後にほのかな心地の良い苦味が残るんですよ。それが個人的にはサツマイモと合う気がします。

柳:わかる。焼き芋のちょっと苦い感じですよね。

丹尾:そう。それが最後にちょっと出てくるんですよ。

柳:僕はワインにあまり詳しくないんですけど、食感としても大学芋はちょっと柔らかめで、『バーボン・バレルエイジド シャルドネ』もちょっとトロッとしているので、そこの相性もいいのかなと。
あとは、シナモンの戻り香と、ワインの戻り香も上手く調和していて、香りもいいですね。大学芋にカスタードクリームやシナモンというエッセンスを加えたことで、お互いの美味しさが引き立っていると思います。

伊藤:カスタードが入ってることで、より相性がよくなるって感じはありますよね。キャラメルとバニラに、ちょっと苦味があって、すごく美味しい。最後に出てくるロースト感が堪らないです。

丹尾:これを食べて思ったんですけど、果物とお酒の組み合わせって、それだけだと難しいと部分もあると思うんです。だけど、間に何かを挟むと、途端に美味しくなる。そういう組み合わせ方がいいのかもしれないですね。

―食べ物とお酒の間に、何かを挟む?

丹尾:例えば、さっきの大学芋だったら、カスタードクリームやシナモンが持つ甘みと苦味が、『バーボン・バレルエイジド シャルドネ』の樽香に歩み寄ることで、全体が調和しているんだと思うんですよね。

伊藤:確かに!栗と『496』は醤油が引き合わせてくれてたし、柿と『グランド キリン IPA』はクミンが、リンゴと『萌黄』の組み合わせのときはナッツが繋げてくれた感じでしたね。

紅茶の香りを持ったビールのキレが生む爽快な後味!

―最後は『桃』です。桃にアールグレイの茶葉をまぶしてあります。

柳:これは『グランド キリン IPL』がハマると思います。IPLは紅茶のような香りを持っているので、アールグレイとの相性はバッチリじゃないかなぁと。

伊藤:桃と紅茶も相性がいいですもんね。ピーチティーがあるくらいだから。

—では、実際に試してみましょう!

柳:これ、最初に紅茶の香りがくるんだけど、戻り香でまた紅茶がやってきて、すごくいい余韻が残りますね。ビールを飲んでるのに、紅茶の香りが増幅される感じというか。ちょっと面白いかもしれない、これは。

伊藤:本当だ、後から紅茶がグッときますね。

丹尾:不思議な感覚ですね。「追い紅茶」みたいな。

柳:いや、本当に追い紅茶って感じ。

伊藤:美味しいピーチティーを飲んだみたいな感覚です。

柳:桃とビールだけでもピーチティーのような味わいになるかもしれないんですけど、アールグレイが入ることで紅茶の味わいが増幅するんですよね。なので、ビールを飲んでいるのに、後味は紅茶を飲んだときのようにすっきりしているという。

伊藤:すごく不思議ですね。

丹尾:シンプルに考えたら紅茶の香りという共通点なんだと思うんですけど、やっぱり、桃とビールを、間に挟まっている紅茶が近づけてくれてるってことなのかなぁ。

柳:紅茶の香りが桃を邪魔していないというか、むしろ相乗効果で、甘い桃を食べた後に紅茶を飲んでいるようなスッキリ感がありますね。あと、キレてる感じもお茶に近いんでしょうね。

―「キレてる感じ」というのは?

柳:いわゆる“キレ味”のことですね。最後にスッっと抜ける感じ。お茶って、口の中をスッキリさせたいときに飲むじゃないですか。口の中に残っている味や香りを、すっと切ってくれるんです。
今回の組み合わせでいうと、ビールと紅茶が持つキレ味が、桃をちゃんと切ってくれる。それも、けっこう美味しいポイントかもしれないです。

丹尾:これは大発見ですね。今まで、『グランド キリン IPL』に、そういうイメージはなかったですから。

伊藤:意外な発見でした。こんなにスッキリした後味になるとは。

―まさに食後にぴったりな組み合わせですね。

丹尾:そうですね。締めビールにはもってこいの組み合わせかも!

馴染み深くないからこそ、新しい発見が待っている!

「秋の果実とお酒」というテーマで様々な組み合わせを試してきたペアリングの実験、いかがでしたでしょうか。
果物とお酒に共通点がなくても、間に挟まる調味料や食材が相性をよくしてくれるというのは大きな発見でした。

取材後、今回の試みの感想を聞いてみると、ワイン担当の丹尾と伊藤からは「果物と合わせると、今まで感じていなかったお酒の個性が見えてきて面白かったですね。ビールって、苦味やキレを意識しがちなんだけど、意外とフルーティーなんだってことを思い出させてもらいました」という答えが。
ビール担当の柳からは、「ワインと果物と合わせたときに引き立つ両方の果実味がすごかったですね。あれは果物との組み合わせじゃないと感じられなかったお酒の特徴だったと思います」という答えが返ってきました。

果物とお酒という組み合わせは、あまり馴染み深いものではないかもしれません。しかし、だからこそ、未だ見ぬ新しい発見があるのではないかと思います。美味しい旬の食材がたくさん出てくる、これからの季節。果物とお酒と共に、秋の夜長をじっくり過ごしてみてはいかがでしょうか。

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