さぁ、BBQに出かけよう。

2016.05.09

鮮やかな新緑が目にもやさしい5月、アウトドアシーズンの到来です。アウトドアのブームを背景に、都会にもBBQガーデンやグランピングの施設ができるなど、BBQのグルメ化が進んでいます。そこで今月はBBQにお薦めのワインをセレクト。選んでくれたのは、シャトー・メルシャン製造課の安ヶ平良人さん。大自然の中、心地よいそよ風に吹かれてワイワイ愉しむ、アウトドアで味わえるワインはまた格別です!

青空の下で飲む「甲州」は最高です!

“バーベキューといえばお肉。お肉といえば赤ワイン。だからBBQには赤。そんな声が聞こえてきそうですが、せっかくさわやかなそよ風と鮮やかな新緑が心地よい季節なので、敢えてこの季節によく似合う白でセレクトしてみました”と語るのは、自らも大学時代によく友人たちとBBQに出かけたというアウトドア派の安ヶ平さん。
日本には、世界に誇る日本固有のブドウ品種「甲州」があります。柑橘の香りとみずみずしさが特徴の甲州のワインは、青空の下で飲むには最高です。大学時代は日本酒の酵母の研究をしていたこともあり、お酒を造ることに強い憧れをもってメルシャンに入社したという安ヶ平さん。
入社から6年間、製造に携わってきた経験を活かし、ここでは製法が異なる3種類の甲州をセレクション。同じブドウでも、その製法の違いによって、こんなにも味わいが変わること、ぜひともアウトドアでBBQに合わせてその驚きを体験してみてください。

安ヶ平 良人 Yoshindo Yasugahira

シャトー・メルシャン 製造課 製造係 兼 技術係
大学では、生命環境科学研究科で生物資源科学、中でも微生物機能利用学を主に専攻。
2010年4月メルシャン入社、藤沢工場で、製造、品質管理の業務を経て、2013年7月から現職。
ワインに興味を持ち始めたのは、ボージョレ・ヌーヴォーの解禁日に友人らとワインパーティをしたことがきっかけ。当時はワインの味についてはよく分からなかったが、皆がそのワインについて語り合い、記念日や思い出、日常とは違うひとつ上の時間を演出できるワインならではの魅力に惹かれ、ワインづくりの道を志す。
いつかは自分が造ったワインで人に感動を届けたい。強い想いを胸に、日夜ワインづくりに研鑽を重ねている。

勝沼のあわ 2014

カンパイはやっぱり「あわ」でポンッ!

カンパイは参加者全員の気分をアゲてくれる泡からスタートしましょう。
一般的には「ビールでカンパイ!」といったところでしょうが、ビールとはまたひと味違った爽快感が駆け抜ける一本、それが『勝沼のあわ 2014』です。BBQのオープニングセレモニーとして、ポンッ!とコルクをあけるのも、また一興。
『勝沼のあわ』は、山梨県産の甲州を主体としたスパークリング。フレッシュな柑橘系の香りとみずみずしい果実味が特徴的な辛口の白です。ただドライというだけでなく、甲州ブドウの果皮に由来する若干の収れん味と、アフターにはうまみと厚みが感じられます。

それらすべてをしっかりとした「あわ」が包み込んで、爽快感とボディ感の絶妙なバランスをお愉しみいただけるスパークリングワインです。
BBQでは、焼くと香りとうま味が引き立つ野菜、特にこの季節なら、タラの芽やふきのとうといった、ちょっと苦みのある山菜にもピッタリです。お口の中に酸味が心地よく広がり、どんな料理も邪魔しない、まさにBBQにテッパンの一本。誰が飲んでも素直においしいと感じられる『勝沼のあわ』は、BBQの必需品です。

世界のワインに挑む、きれいな「甲州」。

続いてお薦めしたいのは、これぞ「日本の甲州ワイン」といっても過言ではない『メルシャン KOSHU 2011』です。このワインはシャトー・メルシャンが海外輸出用として特別に造ったワイン。特にワインに厳しい目をもつ本場欧州をターゲットに仕込んだ稀少な一本です。
日本固有のブドウ品種「甲州」の魅力を最大限世界に向けてアピールするために造られた『KOSHU 2011』には、“フリーラン・ジュース”と呼ばれる、果実から自然にしたたり落ちる、果皮の渋味や雑味の極めて少ない、果汁の澄んだ部分だけを贅沢に使用しています。しかもブドウの糖度を極限まで高めるために、収穫をギリギリまで遅らせ、甲州が本来もつ味わいをまるごと表現しています。

プレーンな塩味のクラッカーを添えて。「オイルサーディンはちょっと炙った方が香ばしくて好き」と牧野さん。

このワインを一言で表現するなら、“きれいな甲州”。甲州特有の柑橘系の華やかな香り、すっきりした酸、口に含むとスッと溶けていくようなやわらかい飲み口。
ほのかにトーストのような香ばしさが広がり、まさにそよ風が似合う一本です。といっても、ただやさしいだけのワインではありません。今回は2011年のヴィンテージ、5年経った今でもみずみずしさを保ちながら、しっかり熟成した味わいもお愉しみいただけます。鶏肉や豚肉、ソーセージなど、白い肉に合わせてどうぞ。

「チーズとバゲットさえあれば、それだけでワインは充分に愉しめる」というワインファンも多い。パリッと塩味のきいたバゲットパンを添えて。

どんな肉でもグリグリいける『グリ・ド・グリ』。

BBQの醍醐味は何といっても、グリルの上で豪快に焼くお肉。そうした肉にしっかりマッチする白が実はあるんです。それが『シャトー・メルシャン 甲州グリ・ド・グリ2015』。ちょっとヘンテコな名前ですが、ぜひともこの機会に覚えておいてください。
淡く灰色がかった(灰色=仏語でGris/グリ)赤紫色の甲州ブドウ。「この色の付いた果皮の周りにおいしさがあるのでは?」という仮説から、赤ワイン的な造りの要素を入れていくつかの方法でキュヴェを仕込み、それらをバランスよくアサンブラージュしてできたのが『甲州グリ・ド・グリ』なのです。

ですから厳密にいえば、白ワインでもなく、赤ワインでもなく、かといってロゼでもなく。まさに甲州ブドウの魅力を100%引き出すことからはじまった、グリ・ド・グリというシャトー・メルシャン独自の製法によるワインです。
甲州の果皮や種、果汁がすべて混ざり合って、ふくよかな味わいと立体的な複雑味を構成し、どんなお肉にも負けない、しっかりとした味わいをご堪能いただけるのではないかと思います。シャケのちゃんちゃん焼きのような味噌焼きにもよく合います。

「チーズとバゲットさえあれば、それだけでワインは充分に愉しめる」というワインファンも多い。パリッと塩味のきいたバゲットパンを添えて。

【ワインを愉しむ基礎知識】 日本固有のブドウ品種「甲州」

世界のブドウ生育地は北緯30〜50度、南緯20〜40度の中にあり、日本は北海道から九州まで、全国でブドウ栽培が行われています。ワインに使用されるブドウは、多くが明治時代にヨーロッパやアメリカから輸入されたものでしたが、日本にも古くから固有品種「甲州」がありました。
美しい紫色の果皮をもつ日本固有のブドウ品種「甲州」。その歴史は古く、シルクロードを経て山梨県甲州市勝沼町に伝わったとされています。シャトー・メルシャンでは、固定観念にとらわれず、甲州の新たな可能性を探る『甲州プロジェクト』を発足させ、本日に至るまで、様々な甲州ワインを世の中に送り出してきました。
因みに、ワインの本場欧州に輸出するワインラベルに表示できるブドウ品種名は「国際ブドウ・ブドウ酒機構(O.I.V.)」等に登録されているものに限られており、厳しい製造規正などもあり、長い間、日本固有品種のワインは欧州に輸出できませんでした。
しかし2010年に「甲州」が初めて日本固有のブドウ品種としてO.I.V.登録され、ようやく日本ワインが世界の市場で注目されるようになりました。
今回の一本『メルシャン KOSHU 2011』は、甲州がO.I.V.登録された一年後にリリースされたもの。まさに日本ワインが世界のワイン市場に一石を投じることになった、歴史的な一本なのです。

“さぁ、BBQに出かけよう”安ヶ平良人さんが選んだ、BBQを愉しむベスト3ワイン。

  • 勝沼のあわ 2014

    【産地】山梨県甲州市勝沼町
    【使用品種】甲州主体
    【発酵】ステンレスタンク主体
    【育成】オーク樽およびステンレスタンク育成
    【テイスティングノート】
    液色はゴールド。メロン、バナナを連想させる爽やかな香りとレモン、洋梨など果皮の黄い果実がほのかに感じられます。
    細かい泡と共に弾けるような炭酸ガスが口中に広がった後、甲州の果皮に由来する若干の収れん味がアクセントとして現れます。
    【マリアージュ】
    和食、洋食、中華やサラダなど、種類を選ばず幅広い料理と合います。

  • メルシャン KOSHU 2011[エリア限定/DRINX限定]

    【産地】山梨県甲州市勝沼町
    【使用品種】甲州100%
    【発酵】ステンレスタンク発酵
    【育成】ステンレスタンク育成
    【テイスティングノート】
    淡い黄色。白桃、ネクターのような甘い果実がほのかに香った後、グレープフルーツ、スダチのようなすがすがしい柑橘系の香りも。
    味わいは、穏やかな果実味の後に、フレッシュな酸が広がり、塩味のようなうまみも感じられる。アフターには、ほのかな収れん性も感じ取れます。
    【マリアージュ】
    シンプルな焼き魚、白身魚のマリネ、ささみ肉を使ったサラダ、野菜類の天ぷら、柑橘類を少々搾りたくなるあっさりめの料理に。

  • シャトー・メルシャン 甲州グリ・ド・グリ 2015

    【産地】山梨県
    【使用品種】甲州 100%
    【発酵】ステンレスタンク及びオーク樽
    【育成】オーク樽およびステンレスタンク育成
    【テイスティングノート】
    やや褐色を帯びた濃い黄色(鮮やかなオレンジ色)。アプリコット、煮詰めたフルーツソースのような甘さを連想させるアロマと、ダージリンやオールドローズのような心地よくやさしい香り。赤ワインのようなタンニンに由来する若干の収れん味があるも、ふくよかさと滑らかさがあり口中で複雑な立体感を構築している。
    【マリアージュ】
    みりん、砂糖、醤油などの甘めの調味を用いた料理によく合います。山菜を用いた料理(天ぷら、炊き込みご飯など)とも相性は抜群です。

青空の下で飲む「甲州」は最高です!

カンパイはやっぱり「あわ」でポンッ!

世界のワインに挑む、きれいな「甲州」。

どんな肉でもグリグリいける『グリ・ド・グリ』。

【ワインを愉しむ基礎知識】
日本固有のブドウ品種「甲州」

“さぁ、BBQに出かけよう”安ヶ平良人さんが選んだ、BBQを愉しむベスト3ワイン。

“さぁ、BBQに出かけよう”安ヶ平良人さんが選んだ、BBQを愉しむベスト3ワイン。

  • 勝沼のあわ 2014

  • メルシャン KOSHU 2011[エリア限定/DRINX限定]

  • シャトー・メルシャン 甲州グリ・ド・グリ 2015