おいしいって心地いい、大人のペアリング
2018.04.26
最近、ますます人気が出てきたクラフトビール。個性的な味わいや豊かな香りを、多くの方が楽しむようになってきました。しかし、クラフトビールと一緒に何を食べるか、となると、まだまだ知られていないことがたくさんあります。実は、手間ひまをかけた料理だけじゃなく、コンビニで気軽に買えるスナック菓子も、クラフトビールとのペアリングにぴったりなのです。そこで今回は、グランドキリンと、身近なコンビニスナックとのペアリングに挑戦。グランドキリンの開発担当者と、カルビー株式会社より2名の開発担当者にお越しいただき、最高の相性を見つけてもらいました。気軽にペアリングの魅力を体感できるので、きっとあなたも試してみたくなるはずです。
白石 大悟さん
キリンビール株式会社 企画部 グランドキリンブランドマネージャー。グランドキリンのコンセプト開発を担当。ビール好きが集うコミュニティ「CRAFT BEER ROOM」では、講師となりクラフトビールの楽しみ方を教えている。
久下 郷美さん
カルビー株式会社 マーケティング本部 CVS部。ポテリッチなどコンビニ限定商品の企画を担当。
旅行でドイツやチェコのビアホールやビール醸造所巡りを経験。根っからのビール好きである。
松井 淳さん
カルビー株式会社 マーケティング本部 素材スナック部 じゃがりこ課 課長(ブランドマネジャー)。じゃがりこの商品企画を担当。ファンサイト「じゃがり校」を活用した共創での商品づくりや、SNSコミュニケーションなど、顧客視点でのブランドづくりに取り組む。
ビールの楽しみ方を広げる、グランドキリン
ビールのスタイルは、世界中で100種類以上あるとも言われています。色も香りも、アルコール度数や苦味もさまざま。
そんな中から今回は、グランドキリンの「JPL (ジャパン・ペールラガー)」「IPA(インディア・ペールエール)」「WHITE ALE(ホワイトエール)」の3種類で、コンビニスナックとのペアリングをしていきます。グランドキリンを担当されている白石さんが、開発の背景を語ってくれました。
白石さん(以下、敬称略):日本だと、とりあえずジョッキで生という楽しみ方が一般的で、これはこの国独特の文化です。それはもちろん私も好きな楽しみ方ですが、一方で、ビールにはさまざまなスタイルがあって、食事に合わせたりする楽しみ方もあります。そうしたビールの魅力をもっと伝えていこうということで、グランドキリンをつくりました。
お酒との相性も大切にしている、カルビーのお菓子
続いて、カルビー株式会社でスナック菓子の開発を担当されている、松井さんと久下さんにお話を伺いました。今回ご用意いただいたのは、「じゃがりこ」「ポテリッチ」「かっぱえびせん」という3ブランド。
松井さん(以下、敬称略):「じゃがりこ」は1995年に発売し、もう20年以上経つ商品です。カップタイプなのは、女子高校生が鞄に入れて、外や学校に持ち歩けるようにと考えたからなんです。今では、子供から大人まで幅広い世代に食べてもらえるブランドになりました。
久下さん(以下、敬称略):「かっぱえびせん」は、発売から半世紀以上経つロングセラー商品ですね。やめられない、とまらないでお馴染みだと思います。期間限定フレーバーも人気のある商品です。そして、「ポテリッチ」ですが、これはコンビニ限定商品です。厚切りカットで、旨味の効いたこだわりの味わいや、お酒に合う濃い味をいつも意識してつくっているので、グランドキリンとの相性も期待できると思っています。
今回、3種類のグランドキリンとペアリングをするスナック菓子は、計9種類。
「ポテリッチ 絶品うま塩」、「ポテリッチ 極旨九州しょうゆ味」、「ポテリッチ 炙り和牛と塩味」。
「じゃがりこ サラダ」、「じゃがりこ サラダチキン味」、「とうもりこ 塩ゆでコーン味」。
そして、「かっぱえびせん」、「かっぱえびせん 桜えび」「かっぱえびせん 韓国のり風味」です。
ペアリングの3つの法則
白石:ペアリングには法則が3つあって、1つめはビールの味の強さで合わせる。今日は、「JPL」「IPA」「WHITE ALE」ですが、それぞれ味の強さが違います。2つめは、使用している原料由来の味わいの特長で合わせる。3つめは食感で合わせる、です。例えば、「じゃがりこ」の歯ざわりと炭酸が合うかどうか、ということです。
松井:炭酸ってどれも一緒かと思ってたけど、違うんですね。
白石:強さは一緒くらいなんですが、使う原料によって感じ方が違うと思います。あと、正しいペアリングの仕方もあります。一口ビールを注いで、食べる。そしてまた一口ビールを飲んで締める、という順番です。
久下:ビールで挟む感じなんですね。
ペアリングの法則と正しいやり方を教わったところで、いよいよ実際にクラフトビールとコンビニスナックのペアリングを始めていきます。
旨味のある「JPL」は、“和”のものと合わせる
まず最初は、「JPL」。ジャパン・ペールラガーといって、国産の麦芽とホップを使用しています。国産の麦芽は旨味成分が多いため、しっかりした味わいが特長です。
松井:コクがあって、ボディがしっかりしてますね。
久下:それに後から香りがきました。
白石:飲んだ後に鼻に抜ける香りを“戻り香”と言うんですが、フローラルな香りがしますよね。「JPL」は、しょうゆ系や出汁系が合うんです。だから、「ポテリッチ 極旨九州しょうゆ味」が合うんじゃないかと思ってます。まずはこちらから食べてみましょうか。
松井:この組み合わせは、自然と笑顔になっちゃいますね!ペアリングは後味が大事ですね。
白石:そうなんです、うまく合うと心地いい感じになるんですよ。
久下:しょうゆと合いますね!他の味を食べても、この一体感は超えられないですね。
白石:バランスがよいですよね。ペアリングも色々あって、掛け算されてすごくおもしろくなるものとか、お互いの個性がよい感じでバランスをとるものとか、色々なパターンの合う合わないがあるんです。これはバランスが取れてちょうどよくなる感じですね。
他にもいくつかの組み合わせを試したものの、満場一致で「ポテリッチ 極旨九州しょうゆ味」が「JPL」に一番合うスナックとして選出されました。
3人ともこの組み合わせにとても感動したようで、何度も試食しては、おいしさに唸っていました。甘辛い九州しょうゆの風味と「JPL」のコクとの相性は、他のスナック菓子と比べるとダントツという評価。非常にバランスがよくお互いの旨味を引き出し合う、これ以上ない組み合わせとなりました。
“白ワイン”のような「WHITE ALE」は やさしい味わいと一緒に
「WHITE ALE」は、小麦麦芽を一部使用したエールタイプ。苦味がやさしい、なめらかな味わいで、マスカットの香りがするホップを使用しているため、白ワインのような香りが特長のビールです。このビールに合うスナックは、一体どれなのでしょうか。
久下:白ワインのようなビールってことは、「かっぱえびせん」系ですかね。
白石:そうですね。あと、スパイスとかバジルも合うので、パセリが入っている「じゃがりこ サラダ」や「じゃがりこ サラダチキン味」も合うと思います。
松井:「WHITE ALE」は本当にマスカットの香りがしますね。「かっぱえびせん」の塩気とエビの風味が合います。
白石:同じ「かっぱえびせん」でも、桜えびは繊細な感じがするので、ビールに負けちゃいますね。
久下:ほどよい塩気も定番の「かっぱえびせん」のほうがいいですよね。
白石:「じゃがりこ サラダ」もバランスが取れていて、おいしいです。
松井:「じゃがりこ サラダチキン味」より、「じゃがりこ サラダ」のほうが合いますね。でも、残る香りは「かっぱえびせん」が1番ですね。
白ワインのような香りがする「WHITE ALE」とのペアリングは、エビの風味が高い評価を得て、「かっぱえびせん」が選ばれました。食べたあとに残る香りと、ベースとなる塩味が絶妙なバランスを生み出しているという評価でした。
予想に挙がっていた「じゃがりこ サラダ」も僅差の2位となりました。
「IPA」のしっかりとした苦味は、濃い味も包み込む
「IPA」は、苦味が特長のエールタイプ。しっかりとした苦味と、柑橘系や桃のようなソフトフルーツの余韻も楽しめるビールです。今回の3種類のビールの中では、最も味に強さがあるのですが、果たしてどのスナックが合うのでしょうか?
松井:本当に柑橘系の香りがしますね、もっと苦いのかと思ってました。
白石:苦味は3種類のグランドキリンの中で1番強いですよ。でも、香りが非常によく、香りによって苦味がマスクされて飲みやすくなるようにつくっているんです。苦味と香りもある「IPA」は予想が難しかったですね。
久下:肉の旨味がガツンとくる、「ポテリッチ 炙り和牛と塩味」が合いそうじゃないですか?こちらから食べてみましょう。
松井:うん、肉の味を「IPA」がちゃんと包みこんでくれている感じがします、おいしい。他の2つのビールでは肉が勝っちゃってましたからね。
白石:ビーフの風味がすごく合いますね!
久下:「かっぱえびせん 韓国のり風味」も濃い味ですけど、のりの感じが強すぎますね。あんまり主張しすぎてもビールには合わないんですね、これは勉強になるなぁ。
松井:たしかに。韓国のりなんてお酒にぴったりだって思ってましたけど、相性によってこんなに変わるなんて。
白石:バランスがあるので面白いですよね。「ポテリッチ 炙り和牛と塩味」と「IPA」は、とにかく合いすぎてますね。
久下:満場一致で肉!ですね。こんなにも違うなんて驚きました。
「IPA」とのペアリングで選ばれたのは「ポテリッチ 炙り和牛と塩味」でした。和牛の濃い味と「IPA」の苦味と香りが非常にマッチしたようです。他のビールでは負けてしまう和牛の味の濃さも、しっかりとした苦味と柑橘のような香りで包み込むことで、見事なおいしさのかけ算が成立していました。
濃い味のスナック菓子は他にもあったものの一歩及ばずという結果に。相性の差がはっきり感じられて、3人ともペアリングの奥深さを改めて味わった様子でした。
お互いのよさを引き出し合うペアリング
ペアリングの結果、最高の組み合わせとして選ばれたのは、以下の3通りでした。
JPL × ポテリッチ 極旨九州しょうゆ味
WHITE ALE × かっぱえびせん
IPA × ポテリッチ 炙り和牛と塩味
どのビールでも、最も相性のよいスナックとのペアリングのときは、そのおいしさに3人とも驚いた表情に。それぞれ1番に選ばれた組み合わせには、もう一度食べたい!という声もあり、大盛り上がりの様子でした。
スナック菓子とグランドキリンのペアリングから生まれる感動的なおいしさに、3人とも納得のいく結果になったのではないでしょうか。
クラフトビールとコンビニスナックのおいしい関係
身近なコンビニスナックとのペアリングで、クラフトビールをもっと楽しんでもらいたい。そんな想いで始まった今回ですが、実際にペアリングをした3人は、どう感じたのでしょうか?
白石:始める前は、コンビニスナックとビールなら合わないものはない、と思っていました。でも、想像以上でしたね。合うものはすごく合うし、合わないものも中にはあるんだなって。今後スナックを選ぶときも気をつけたいです。
松井:複数のスナックとビールを比べるというのが初めてで、こんなにも違いがあるのかと驚きました。「JPL」としょうゆが合うとか、よい組み合わせに出会ったときのあの心地よさは、ぜひみなさんにも感じてもらいたいですね。白石さんも言ってましたが、想像はかなり超えてきました。
久下:今まで、塩気と濃さがあればビールには合うというイメージしか持っていませんでした。でも比べてみると、一体感があったり分離してしまっていたり、全然違う。よい組み合わせのときは、すごい!っていう感動があったので、このペアリングで家でも食べたいです。
コンビニスナックとクラフトビールの想像以上の相性に、3人とも興奮冷めやらぬ様子でした。
まだペアリングを体験したことがないという方も、コンビニスナックとグランドキリンを用意して、3人が体験した“心地よさ”を味わってみませんか?
普段何気なく食べているスナック菓子が、クラフトビールと一緒になることで、感動するようなおいしさに変わる瞬間や、絶妙な組み合わせを見つけたときの驚き。
それはきっと、大人だからこそ体感できる、今までにない楽しみ方です。
みなさんもぜひ、大人ならではのお気に入りの組み合わせを見つけてみてはいかがでしょうか?