自宅で愉しむ、「ワイン」と「和食」のマリアージュ
2017.12.21
近頃、和食にワインを合わせる飲食店が増えてきました。 店員の方に好みのワインに合う料理を訊ねたり、反対に注文した料理に合うワインを勧めてもらえたり、その場の雰囲気に委ねてもワインと和食のマリアージュを自然と愉しむことができます。では、自宅ではいかがでしょうか?自宅でワインを開けるのは、パスタやグラタン、ステーキなど、洋食のときばかり……。今回は、そんな方でも挑戦したくなる「ワイン」と「和食」を掛け合わせる3つのヒントをお届けします。
1.「風味」を合わせてマリアージュを考える
ワインと食事のマリアージュ。最もわかりやすいのは、お互いの風味を合わせること。料理とワインの風味の特長が似通ったものをセレクトするだけで、簡単にマリアージュが叶います。
例えば、寒いこの時期にぴったりの「鴨の治部煮」。
鶏肉よりもコクのある鴨肉を使い、出汁や砂糖、醤油などで香り豊かに仕上げます。合わせるワインは、ふくよかで果実味豊かな「セント・ハレット フェイス シラーズ 2015」はいかがでしょうか。
鴨肉の口どけの良い甘い脂と煮汁を包み込みながら、余韻が愉しめる組み合わせです。
和食の定番である煮物も、ワインとの組み合わせ方によってはぐっと華やかなメニューに様変わりします。定番のわさびの他、七味やゆず胡椒などの薬味をアレンジすれば、シラーズのスパイシーさと新たな調和が生まれ、味のバリエーションも広がります。
気分が白ワインのときに間違いのない食材といえば「牡蠣」。
むき身で手軽に調理をするのもいいですが、特別なディナーには思い切って殻付きのまま調理するのもオススメです。フライパンで好みの加減に蒸し焼きにしたら、もみじおろし、わけぎ、レモンなどの薬味を添えます。
合わせるのは、樽ではなくステンレスタンクで育成された、シャープな酸味のある甲州100%の白ワイン。ワインの持つ爽やかな柑橘感やミネラリティと、ミネラル豊富な牡蠣の相性の良さは理想的なマリアージュといえるでしょう。
2.「補完し合う」マリアージュを考える
料理とワインが味わいを補完し合うマリアージュも愉しいもの。
和食は和食特有の薬味や調味料で味わいが引き締まるように、ワインが料理のアクセントの役割を担い、料理とワインで調和を奏でてくれます。
日本の代表的な薬味食材「わさび」。冬を迎えて脂がのりきった穴子を白焼きにして、わさびを添えれば、穴子の存在感をより感じることができます。
同様に、穴子の脂をキリッと締めてくれるのは、レモンのような豊かな酸味とわずかな甘みのバランスが心地よいリースリングです。口に含めば、わさび同様に穴子の味わいを引き締めてくれ、料理との調和を感じられることでしょう。
洋食メニューの代表格であるハンバーグも、食材の掛け合わせによっては立派な和食。 肉料理と赤ワインの相性の良さは言わずもがなですが、ソースに「たまり醤油」を加えることで新しい味わいが生まれます。
ハンバーグの肉汁とたまり醤油の凝縮された旨みに、赤ワインのタンニン(渋み)や重厚感が合わさることで、ハンバーグの旨みをさらに引き立て、次の一口を誘います。
大根おろしや季節の野菜などを添えることで、和食として目にも豊かでおいしいひと皿に仕上げることができますよ。
3.「熟成」を知り、マリアージュを考える
味噌や醤油、漬物やチーズなど、発酵と熟成により旨味が増した食品は、ワインとの相性が良いものが多いです。
その中でワインとのマリアージュに迷ったら、色や味わいのトーンを合わせることを意識してみましょう。意外と簡単に相性の良い組み合わせに出会えるはずですよ。
例えば、「ブリの照り焼き」と赤ワインの組み合わせ。照り焼きの合わせダレに赤ワインを少し加えてみるのもオススメ。みりんだけで作るよりも、味わいに深みが増します。
脂がのって身も締まった寒ブリが出回るこの季節。旬もしっかり味わいたいので、合わせるワインは重すぎないピノ・ノワールくらいがオススメです。果実香を感じられる「アルベール・ビショー ブルゴーニュ ピノ・ノワール」などが良く合いますよ。
また、白ワインに合う簡単なおつまみとして、燻りがっことクリームチーズを合わせたものはいかがでしょうか?
燻りがっこの香ばしい風味と、酸味がマイルドでコクのあるクリームチーズが、白ワインに良く合います。
どちらも冷蔵庫に常備しておける食材なので、急な来客時にもオススメ。カナッペ風に盛り付ければ手軽に華やかな一品が仕上がります。
大人数で集まるときでも、世代を選ばず活躍してくれるのが和食のいいところ。ちょっとしたコツを覚えておけば、ワインとのマリアージュも簡単です。
ゲストの好みや旬の食材に合わせると、より豊かな時間を過ごすことが出来ますよ。
食卓をグレードアップできるワインと和食のマリアージュ。あなたも挑戦してみませんか?