ブドウを知ることで広がる、ワイン選びの愉しみ
2017.11.09
人が集まることも多くなるこれからの季節。ホームパーティにお呼ばれしたり、家族で1年を振り返りながら食卓を囲んだり、ワインを開けたくなるようなシーンも増えるのではないでしょうか。そんなとき、みなさんは何を基準にしてワインを選んでいますか?赤か白か、産地、値段、ラベルで選ぶジャケ買いなどという言葉もありますね。大事な人と愉しむワインだからこそ、気分やシチュエーション、料理にぴったりの香りや味わいのものを選びたいところ。一方で、まだ飲んだことがないワインを選ぶのは少し不安なものです。そこで今回は、ワインの香りや味わいを大きく左右するブドウの品種に着目して、ワイン選びを愉しむヒントをご紹介したいと思います。
ラベルから読み解く、ブドウの世界
ワインのラベルには、産地、造り手や商品の名前、ブドウ品種、収穫年(ヴィンテージ)などが記載されており、いわばワインのプロフィールといっても過言ではありません。
今回は、これらの中から、香りや味わいを大きく左右するブドウ品種にしぼって、これからの季節にぴったりの愉しみ方と合わせてご紹介したいと思います。
ワインの味わいには、産地の気候やその年の気象条件、醸造家のこだわりなどが大きく影響しています。そのため、世界にふたつとして同じワインはありません。
一方で、ブドウ100%で造られているからこそ、原材料となるブドウ品種の特徴を知ることで、ワインの味わいを想像しやすくなるのです。
ワインの味わいを想像できると、そのワインと相性の良い料理に出会える機会も増え、ワインを選ぶ愉しみがどんどんと広がります。
白ブドウから知る、暖かい部屋で冬こそ味わいたい白ワイン
黄緑色や灰色がかったピンク色(グリ)の果皮を持つ、白ブドウの果汁を搾って造られる白ワイン。
果実味や酸味のバリエーションが豊富なので、選び方次第で、夏に合う爽やかな1杯から、魚介や白身肉などさまざまな料理に寄り添ってくれる1杯まで、幅広く愉しませてくれます。
そんな白ワインから、冬にぴったりのブドウ品種をふたつご紹介します。
ひとつめは、ドイツを代表するブドウ品種の「リースリング」です。
花のような上品な香りとしっかりとした酸味を持ち、爽やかな辛口から甘口のワインまで造られます。ドイツの他にはフランスのアルザス地方、オーストリアの冷涼な地域などでも高品質なワインが造られています。
一般的に、ワインはその産地の料理との相性が良いので、合わせる料理を考えるときにはワイン産地の料理や味付けを参考にするのがオススメ。けれども、リースリングはアルコール度数が低いことが多いため、これからの季節には暖かい部屋でそのまま飲むのもオススメです。
また、レモンパイなどの柑橘系のデザートとの相性も良いので、パーティのデザートタイムなどに愉しむのはいかがでしょうか。
もうひとつは、日本を代表する白ブドウ品種「甲州」です。
日本で1300年もの歴史をもつ伝統ブドウで、山梨県を中心に栽培される日本国有の欧州系品種です。淡い赤紫色の果皮を持つブドウで、軽やかで繊細な香りと穏やかな味わいが特徴です。
そのため、繊細な味わいの和食と幅広く合わせることができ、寒くなるこれからの季節には、生牡蠣や鍋物などと合わせて愉しむのもオススメです。
黒ブドウから知る、パーティシーズンに愉しみたい赤ワイン
皮の黒いブドウ(黒ブドウ)を果皮や種ごと発酵させて造られる赤ワイン。この果皮から抽出される色素が美しい赤色を生み出し、食卓に華やかさをもたらしてくれます。
代表品種はいくつかありますが、これからのパーティシーズンに活躍してくれそうな2種類をご紹介します。
ひとつめは、フランス ボルドー地方原産のブドウ品種「カベルネ・ソーヴィニヨン」。
深みのある色合い、しっかりとしたタンニン(渋み)、しっかりとした酸味が特徴で、重厚で飲みごたえのある味わいです。
飲みごたえのあるワインには、霜降りなどの脂が乗ったステーキや、濃厚なソースを使った肉料理など、食べごたえのある料理がオススメです。ワインの果実味が肉の旨味や甘みと調和し、タンニンが口の中の脂っぽさを洗い流してくれ、「もう一口」を誘います。
これからの季節、ホームパーティなどで豪華な肉料理と一緒に用意して、盛りあがってみてはいかがでしょうか。
もうひとつのオススメは、フランスのブルゴーニュ地方を代表するブドウ品種「ピノ・ノワール」です。
イチゴやラズベリー、チェリーや、バラの花を思わせる華やかな香り、スパイスのニュアンスを持つものなど産地によってさまざまですが、比較的細やかで緻密なタンニン、しっかりめの酸味と、なめらかな味わいが特徴的です。
豚のリエットなどのシャルキュトリー全般や、赤身の肉を使った料理がオススメ。友人の家にお呼ばれしたら、リエットやテリーヌなどすぐに食べられるシャルキュトリーと一緒に手土産にすれば、その場ですぐにマリアージュが愉しめます。
いかがでしたか?
まずはブドウの品種の特徴を知り、少しずつ、そのワインが造られている産地の気候や、地元料理に思いを馳せられるようになると、ワインの愉しみ方がぐっと広がります。
この冬は、一緒に飲む人や今夜食べる料理を考えながら、「ワイン選び」を愉しんでみてはいかがでしょうか。