スウィーツが引き出すウイスキーの香り

2017.09.14

ゆっくりと香りや味わいを愉しむお酒、ウイスキー。映画やドラマでも、オンザロックの氷をグラスの中でゆっくりと転がしたりと、シックで大人な雰囲気で描かれることも多いため、少し敷居の高いお酒だと思っている方も多いのではないでしょうか。実は、芳醇な香りや味わいを愉しむウイスキーには、スウィーツが合うのをご存知ですか?香りや味わいが合うだけではなく、どちらもゆったりとした時間を過ごしたいときにあると、豊かな気持ちになれるという共通点もあります。今回は、モルトウイスキーとグレーンウイスキーにそれぞれ合う、スウィーツとのペアリングをご紹介します。

“モルト”と“グレーン”それぞれの香りを愉しむ

ウイスキーには、大きく分けて「モルトウイスキー」と「グレーンウイスキー」の2種類があります。原料や製法の違いにより、それぞれの香りに特長をもっています。

モルトウイスキーは一般的に、強い個性をもつため、ラウドスピリッツ(声高な蒸留酒)と呼ばれています。
ビールをよく飲む方は、モルトと言えばビールを想像されるかもしれませんが、モルトの香ばしい風味を愉しめるのはビールだけではありません。
モルトウイスキーの原料はビールと同じ、大麦麦芽。これを発酵させ、ポットスチルという単式蒸留釜で2回蒸留してつくります。

グレーンウイスキーは穏やかな風味のものが一般的なため、サイレントスピリッツ(静かな蒸留酒)と呼ばれており、脇役的存在です。
原料は、トウモロコシや小麦などの穀類と、大麦麦芽。それらを発酵させ、連続式蒸留機器で蒸留してつくります。

どちらもオーク材の樽でゆっくりと熟成させます。

それに対して、富士御殿場蒸溜所では創業当時からモルトウイスキーのみならずグレーンウイスキーにもこだわりぬき、さまざまなタイプの原酒をつくりわけています。
理想とする「澄んだ味わいの中に広がる甘い樽熟香」を極め、ジャパニーズウイスキーならではの繊細で複雑な味わいを実現するためには、グレーンが重要な役割を果たすと考えています。一般的にモルトウイスキーでは、味わいを決定づけるモルトを「キーモルト」と呼びますが、富士御殿場蒸溜所ではグレーンウイスキーも味わいの鍵を握る「キーグレーン」と位置づけています。

また、モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたものを「ブレンデッドウイスキー」と呼びます。
香り豊かなモルトウイスキーとグレーンウイスキーを絶妙なバランスでブレンドすることによって、いっそう複雑で調和のとれた味わいを愉しめることが特長です。

そして、単一の蒸溜所でつくられたモルトのみを使用したウイスキーを「シングルモルト」、単一の蒸溜所でつくられたグレーンのみを使用したウイスキーを「シングルグレーン」と呼び、モルトとグレーンそれぞれの特長をより愉しむことができます。

甘い香りとビターの融合、モルトとチョコのマリアージュ

ウイスキーに合うスウィーツとして、チョコレートはよく知られているかもしれません。今回用意したのは、Blender’s Choice シングルモルトウイスキー。甘い香りに加えて、芳ばしくフルーティーな香りも愉しいモルトウイスキーに、ビターチョコレートがよく合います。

カカオの風味の存在感がより強いビターチョコレートをかじりながらウイスキーを傾ければ、より芳醇な香りとビターで複雑な味わいが口の中で広がります。

例えば「green bean to bar CHOCOLATE」のチョコレートは、ビターの中にハーブや、芳しい香りが感じられるものもあります。そのような香りのするものは、ウイスキーとチョコレートの複雑な香りと味わいのマリアージュを、より愉しむことができます。

ウイスキーを冷やしすぎると、チョコレートが口の中で固まってしまうこともあります。そのため、チョコレートの口どけを愉しみたい場合は、ウイスキーの香りや味わいが華やかに広がるトワイスアップ(1:1の水割り)がオススメです。

華やかな香りの組み合わせ、グレーンと和菓子のマリアージュ

華やかな香りで、はちみつや花のような香りも感じられるグレーンウイスキー。今回用意したBlender’s Choice シングルグレーンウイスキーには、優しい甘さで上品な香りのする和菓子やドライフルーツ、カステラなどがおすすめです。

ウイスキーの愉しみ方のひとつは「香りを愉しむこと」。ペアリングするスウィーツを選ぶひとつのポイントとして、似た香りや風味のものを選ぶという方法があります。

例えば、シトラスの香りが口いっぱいに広がる柑橘ののった「黒船」のカステラと合わせたり、フレッシュな香りのする「アラカルト」のドライフルーツを合わせたり。スウィーツとグレーンそれぞれの華やかな香りや芳醇で甘い風味が交わることによって、お互いの風味を引き立ててくれます。

穏やかな味わいのグレーンには、日本の情緒が感じられる「大文字」の黄身しぐれのような、やさしい甘みの和菓子とのマリアージュもおすすめです。

ウイスキーの特長がわかると、愉しみ方の幅も広がります。

グラスの中できれいな黄金色に輝くウイスキーと、氷がゆっくりと溶けていく様子を愉しむこともできれば、好きなスウィーツと合うかを試してみたり。

家族や友人と好きなスウィーツを持ち寄って、ウイスキーとのペアリングを試してみるのも、さまざまな味が愉しめて良いかもしれません。

ゆったりと過ごせる時間に、自分なりのウイスキーとスウィーツのマリアージュを探してみませんか。

取材協力

green bean to bar CHOCOLATE

黒船

アラカルト

大文字(だいもんじ)
東京都目黒区自由が丘1丁目27-2 自由が丘ひかり街 1F

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