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新酒で新春。2017
2017.01.05
あけましておめでとうございます。2017年も良いワインの年であることを祈って、新春を言祝ぐ「新酒」ワインの特集です。新しい年をフレッシュな気分でスタートするためにとびきりフレッシュなワインをご用意しました。特に人が集まることの多い年のはじめ、みんなで囲むお料理と相性がよいのが新酒の特徴。ワインについて語ってくれるのは、シャトー・メルシャンが誇るワインメーカー小林弘憲さん。さぁ、2017年も、おろしたてのワインで、良い年に!
小林 弘憲 Hironori Kobayashi
シャトー・メルシャン ワインメーカー。1999年 メルシャン株式会社入社、中央研究所配属。2004年から2007年まで、ボルドー大学醸造学部に研修生として毎年数ヶ月派遣され、世界のワイン醸造技術を学ぶ。2010年 シャトー・メルシャン製造課兼技術係。2011年 山梨大学大学院医学工学総合研究学部博士課程修了(工学博士)。2014年 オーストラリア バロッサバレー他で研修、現在に至る。
シャトー・メルシャンでワイン醸造において、研究員の立場から試験的な仕込みを担当。2003年の仕込み時期に様々な試験醸造を行う中、甲州ブドウから今まで感じることのできなかった柑橘系のアロマを感じるキュヴェを発見(甲州きいろ香)。現在サイエンスとポエムを融合させたワイン造りを目指し奮闘中。
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まるで福笑い(?)のような満面の笑みで、まず最初に新酒の魅力をそう話してくれた小林弘憲さん。おすすめワインを両手に抱えて登場です。
「あまり難しいことを考えず、できたてのフレッシュな味わいを愉しめるのが新酒の最大の魅力。人も料理も選ばないオールマイティな2本を、おめでたいお正月のためにこっそりとっておきました」と、いたずらっ子のように語ってくれました。
それもそのはず、新酒といえば11月に出て、その年のうちに売り切ってしまうケースが多く、しかもシャトー・メルシャンでは700本しか仕込まれず、さらにはワイナリーだけの限定販売という超お宝もののレアワイン。それをマンスリー シャトー・メルシャン1月号のために、特別にキープしておいたのが今回の2本だそう。
「新酒の場合、できたてをすぐ飲むのももちろん美味しいですが、少しの間瓶内で寝かせて、ちょっと落ち着いた頃に愉しむのも、やわらかさが加わって格別なもの。
少なくとも一年間はしっかり愉しめるように造っているので、例えば出た時に買っておいて、新生活が始まる4月頃、新酒でフレッシュな門出を祝うなんていうのも、むしろワイン通ならではの愉しみ方だと思います。あと旬のものとして、ギフトにも喜ばれるかもしれませんね」。
さらに今回の新春スペシャルとして選んだ2本について、小林さんの熱がこもります。「正月といえば家族はもとより、人が集まる機会が多いもの。そんな時にはやっぱりみんなで囲む鍋が最高です! わいわい楽しく笑顔で愉しむ“わいわいワイン”。私が選んだ“新春新酒”のコンセプトは、ズバリ! 鍋に合うワインなのです」。
お正月といわず、一年で最も寒くなるこれからの季節は、アツアツの鍋が最も美味しく感じられる季節。
「フレッシュでフルーティな新酒は、基本的にどんな料理にもよく合うものですが、シャトー・メルシャンの新酒は、特にすっきりドライに仕上げているので、なおさら鍋ものとは相性が良いと思います。果実味をできるだけ活かすために、じっくり樽をきかせたワインではないので、特に鍋と合わせるときは、少し冷やして飲んでも美味しいと思います。この季節はボトルを外に出しておけば適温に」。という訳で、さっそく小林さんおすすめの“鍋×新酒”特集、はじまり、はじまり~。
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【産地】 山梨県国中地域
【使用品種】 マスカット・ベーリーA(約85%)、
アルモノワール(約15%)
【発酵】 ステンレスタンク発酵
【熟成】 樽育成(約1ヶ月)
【テイスティングノート】
深いルビー色。
綿菓子のように甘く、ストロベリー、ラズベリー、チェリーなど赤い果実を連想させる香りが特徴的。樽育成に由来するヴァニラ、チョコレートの香りも感じられます。チャーミングな香りとしっかりとしたタンニンとがバランスよく調和しています。 -
【産地】 山梨県国中地域
【使用品種】 マスカット・ベーリーA(100%)
【発酵】 ステンレスタンク発酵
【テイスティングノート】
鮮やかなピンク。
チェリー、ストロベリーのような赤い果実を連想させる香りとキャンディー、綿菓子のような甘い香りとがバランスよく調和。
フレッシュな酸味とほのかなタンニンが口中に広がります。
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新年を飾る新酒の赤としておすすめしたいのが、『シャトー・メルシャン 日本の新酒 マスカット・ベーリーA 2016』です。
新酒といえば、一般的に赤でも甘めでフルーティな味わいのものが多い中、このワインは、繊細な樽使いによってしっかり本格派の味わいに造り込んでいます。
最初にマスカット・ベーリーA特有のいちごのような甘い香りが感じられますが、樽も使われているので、単純な果実味だけではなく、ほどよい複雑味も愉しめます。さらには適度なタンニンも感じられ、「すき焼き」をはじめ、濃いめの味わいの鍋料理と相性のよい飲みごたえを感じさせます。
この味づくりに欠かせないのが、15%だけ使用されている「アルモノワール」という赤ワイン用のブドウ品種です。このブドウは山梨県果樹試験場が開発した日本のオリジナル品種で、しっかりしたタンニンと赤の色づきをもち、繊細なマスカット・ベーリーAに、バランスの良い重厚感を与えてくれています。ワインメーカーとしては、アルモノワールが隠し味となったこのマスカット・ベーリーAを、ぜひ一度お試しいただきたいと思います。
新酒のフレッシュさと赤の本格感を兼ね備えたこのワインに合わせる鍋として、赤味噌をつかった「牡蛎のどて鍋」など、いかがでしょう。
冬に旬を迎える牡蛎とフレッシュなマスカット・ベーリーAの果実味、そしてしっかりした赤味噌の風味とほどよいタンニンがお口の中で見事に調和します。
おそらく一般的な新酒だと、赤味噌の強い風味に負けるワインが多いのではないかと思いますが、このマスカット・ベーリーAなら決してそんなことはありません。私が自信をもっておすすめします。
さらにもう一品、九州の郷土料理から全国に広がった「博多風水炊き」です。
こってり濃厚な鶏ガラスープで具材を煮込む博多風水炊きには、繊細でありながらしっかり本格派の味わいに仕上げられたマスカット・ベーリーAの新酒がとてもよく合います。つけダレの「ポン酢」や「ゆず味噌」などとも、実はワインは相性抜群なのです。
因みに、昆布だしが一般的なあっさり系「関西風水炊き」には、次のロゼをおすすめします。

『シャトー・メルシャン 日本の新酒 マスカット・ベーリーA ロゼ 2016』。このワインは個人的にも、かなりお気に入りです。
ロゼワインにはいくつかの造り方があります。
例えば赤ワインを造る工程で、赤く色づく前に一部の液を抜きとる方法や、赤ワインを造るのと同じ製法で、皮の漬け込み期間だけ短くする「ショートマセレーション」という方法。このロゼは、一番手間がかかるショートマセレーションで仕込んだワインです。一般的なロゼより色が少し赤いのは、マスカット・ベーリーAのチャーミングさを引き出すために、漬け込み期間をやや長めにしたためです。
マスカット・ベーリーA100%で、チェリーのような華やかな香りと、新酒ならではともいえるフレッシュで爽やかな酸、さらには赤ワインのようなタンニンもほのかに感じられて、まさに白の爽やかさと赤の飲みごたえを兼ね備えた一本。どんな料理にもよく合う、お手本のようなワインです。
まずこのワインに合わせる鍋として、「おでん」をおすすめします。
醤油系のちょっと甘いつゆに、このワインはピッタリです。
ロゼでありながらドライに仕上げたワインが、しっかりだしが染みたおでんだねを、お口の中でキリッと引き締めます。もちろんマスカット・ベーリーAならではの甘みも感じられるので、甘辛系のだしとの相性が良いのは言うまでもありません。
お鍋の中でさまざまな食材が競演するおでんには、オールマイティなこの新酒のロゼが、私のベストセレクションです。
もう一品、寒い季節は特においしい「キムチチゲ」にも、ぜひ合わせてみていただきたい。
ロゼと合わせるのはちょっと意外に思われるかもしれませんが、ピリ辛の濃いスープが、このドライなロゼと実によくマッチします。さらに豚バラ肉から出るうま味が、ほんのり甘いワインの余韻を感じさせます。ハフハフ熱いチゲを頬張りつつ、少し冷やしたロゼを口に含むと、心地よいタンニンが広がって料理の美味しさをグッと引き立ててくれるはず。
ぜひともお試しいただきたいマリアージュです。
小林 弘憲 Hironori Kobayashi
シャトー・メルシャン ワインメーカー。1999年 メルシャン株式会社入社、中央研究所配属。2004年から2007年まで、ボルドー大学醸造学部に研修生として毎年数ヶ月派遣され、世界のワイン醸造技術を学ぶ。2010年 シャトー・メルシャン製造課兼技術係。2011年 山梨大学大学院医学工学総合研究学部博士課程修了(工学博士)。2014年 オーストラリア バロッサバレー他で研修、現在に至る。
シャトー・メルシャンでワイン醸造において、研究員の立場から試験的な仕込みを担当。2003年の仕込み時期に様々な試験醸造を行う中、甲州ブドウから今まで感じることのできなかった柑橘系のアロマを感じるキュヴェを発見(甲州きいろ香)。現在サイエンスとポエムを融合させたワイン造りを目指し奮闘中。
まるで福笑い(?)のような満面の笑みで、まず最初に新酒の魅力をそう話してくれた小林弘憲さん。おすすめワインを両手に抱えて登場です。
「あまり難しいことを考えず、できたてのフレッシュな味わいを愉しめるのが新酒の最大の魅力。人も料理も選ばないオールマイティな2本を、おめでたいお正月のためにこっそりとっておきました」と、いたずらっ子のように語ってくれました。
それもそのはず、新酒といえば11月に出て、その年のうちに売り切ってしまうケースが多く、しかもシャトー・メルシャンでは700本しか仕込まれず、さらにはワイナリーだけの限定販売という超お宝もののレアワイン。それをマンスリー シャトー・メルシャン1月号のために、特別にキープしておいたのが今回の2本だそう。
「新酒の場合、できたてをすぐ飲むのももちろん美味しいですが、少しの間瓶内で寝かせて、ちょっと落ち着いた頃に愉しむのも、やわらかさが加わって格別なもの。
少なくとも一年間はしっかり愉しめるように造っているので、例えば出た時に買っておいて、新生活が始まる4月頃、新酒でフレッシュな門出を祝うなんていうのも、むしろワイン通ならではの愉しみ方だと思います。あと旬のものとして、ギフトにも喜ばれるかもしれませんね」。
さらに今回の新春スペシャルとして選んだ2本について、小林さんの熱がこもります。「正月といえば家族はもとより、人が集まる機会が多いもの。そんな時にはやっぱりみんなで囲む鍋が最高です! わいわい楽しく笑顔で愉しむ“わいわいワイン”。私が選んだ“新春新酒”のコンセプトは、ズバリ! 鍋に合うワインなのです」。
お正月といわず、一年で最も寒くなるこれからの季節は、アツアツの鍋が最も美味しく感じられる季節。
「フレッシュでフルーティな新酒は、基本的にどんな料理にもよく合うものですが、シャトー・メルシャンの新酒は、特にすっきりドライに仕上げているので、なおさら鍋ものとは相性が良いと思います。果実味をできるだけ活かすために、じっくり樽をきかせたワインではないので、特に鍋と合わせるときは、少し冷やして飲んでも美味しいと思います。この季節はボトルを外に出しておけば適温に」。という訳で、さっそく小林さんおすすめの“鍋×新酒”特集、はじまり、はじまり~。
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新年を飾る新酒の赤としておすすめしたいのが、『シャトー・メルシャン 日本の新酒 マスカット・ベーリーA 2016』です。
新酒といえば、一般的に赤でも甘めでフルーティな味わいのものが多い中、このワインは、繊細な樽使いによってしっかり本格派の味わいに造り込んでいます。
最初にマスカット・ベーリーA特有のいちごのような甘い香りが感じられますが、樽も使われているので、単純な果実味だけではなく、ほどよい複雑味も愉しめます。さらには適度なタンニンも感じられ、「すき焼き」をはじめ、濃いめの味わいの鍋料理と相性のよい飲みごたえを感じさせます。
この味づくりに欠かせないのが、15%だけ使用されている「アルモノワール」という赤ワイン用のブドウ品種です。このブドウは山梨県果樹試験場が開発した日本のオリジナル品種で、しっかりしたタンニンと赤の色づきをもち、繊細なマスカット・ベーリーAに、バランスの良い重厚感を与えてくれています。ワインメーカーとしては、アルモノワールが隠し味となったこのマスカット・ベーリーAを、ぜひ一度お試しいただきたいと思います。
新酒のフレッシュさと赤の本格感を兼ね備えたこのワインに合わせる鍋として、赤味噌をつかった「牡蛎のどて鍋」など、いかがでしょう。
冬に旬を迎える牡蛎とフレッシュなマスカット・ベーリーAの果実味、そしてしっかりした赤味噌の風味とほどよいタンニンがお口の中で見事に調和します。おそらく一般的な新酒だと、赤味噌の強い風味に負けるワインが多いのではないかと思いますが、このマスカット・ベーリーAなら決してそんなことはありません。私が自信をもっておすすめします。
さらにもう一品、九州の郷土料理から全国に広がった「博多風水炊き」です。
こってり濃厚な鶏ガラスープで具材を煮込む博多風水炊きには、繊細でありながらしっかり本格派の味わいに仕上げられたマスカット・ベーリーAの新酒がとてもよく合います。つけダレの「ポン酢」や「ゆず味噌」などとも、実はワインは相性抜群なのです。
因みに、昆布だしが一般的なあっさり系「関西風水炊き」には、次のロゼをおすすめします。
『シャトー・メルシャン 日本の新酒 マスカット・ベーリーA ロゼ 2016』。このワインは個人的にも、かなりお気に入りです。
ロゼワインにはいくつかの造り方があります。
例えば赤ワインを造る工程で、赤く色づく前に一部の液を抜きとる方法や、赤ワインを造るのと同じ製法で、皮の漬け込み期間だけ短くする「ショートマセレーション」という方法。このロゼは、一番手間がかかるショートマセレーションで仕込んだワインです。一般的なロゼより色が少し赤いのは、マスカット・ベーリーAのチャーミングさを引き出すために、漬け込み期間をやや長めにしたためです。
マスカット・ベーリーA100%で、チェリーのような華やかな香りと、新酒ならではともいえるフレッシュで爽やかな酸、さらには赤ワインのようなタンニンもほのかに感じられて、まさに白の爽やかさと赤の飲みごたえを兼ね備えた一本。どんな料理にもよく合う、お手本のようなワインです。
まずこのワインに合わせる鍋として、「おでん」をおすすめします。醤油系のちょっと甘いつゆに、このワインはピッタリです。ロゼでありながらドライに仕上げたワインが、しっかりだしが染みたおでんだねを、お口の中でキリッと引き締めます。もちろんマスカット・ベーリーAならではの甘みも感じられるので、甘辛系のだしとの相性が良いのは言うまでもありません。お鍋の中でさまざまな食材が競演するおでんには、オールマイティなこの新酒のロゼが、私のベストセレクションです。
もう一品、寒い季節は特においしい「キムチチゲ」にも、ぜひ合わせてみていただきたい。ロゼと合わせるのはちょっと意外に思われるかもしれませんが、ピリ辛の濃いスープが、このドライなロゼと実によくマッチします。さらに豚バラ肉から出るうま味が、ほんのり甘いワインの余韻を感じさせます。ハフハフ熱いチゲを頬張りつつ、少し冷やしたロゼを口に含むと、心地よいタンニンが広がって料理の美味しさをグッと引き立ててくれるはず。
ぜひともお試しいただきたいマリアージュです。