秋の夜長にワイン語り。

2016.10.06

秋の夜長、たまには極上のワイン片手に、ゆっくりワインについて語るのもいいものです。今宵ご用意したワインは、シャトー・メルシャンの究極のこだわりが詰まった赤と白、『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005』と『シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 無濾過 2012』。10月の語り部は、本場フランスのボルドーでもワイン造りのキャリアをもつ、シャトー・メルシャンのシニア・ワインメーカー藤野勝久さん。豊穣の秋、藤野さんがこの2本をセレクトした理由に、しばし耳を傾けてみましょう。

藤野 勝久 Katsuhisa Fujino シャトー・メルシャン シニア・ワインメーカー

1979年入社。1992年よりシャトー・レイソン(ボルドー)出向。1996年より欧州事務所長を務めるなど、豊富な海外経験を活かし、レ・シタデル・デュ・ヴァン国際ワインコンクールをはじめ、多数のコンクールの審査員に選抜。エノログ(ワイン醸造技術管理士)他、ワインに関する数々の資格を保有。故シャトー・マルゴー最高醸造責任者ポール・ポンタリエ氏との公私にわたる親交を通し、そのワイン哲学をシャトー・メルシャンブランドの育成に生かしている。
世界に誇る、感動を与える日本ワインを造ること、そして伝道師として日本ワインのテロワールのメッセージを、国内はもとより世界へ発信することが生涯の目標。

欧州ワインに精通した男、藤野勝久。シャトー・メルシャン最高峰のワインを語る。

一見、厳格な学者のようにも見える藤野さん、それもそのはず、ワインに関する保有資格が半端ではない。
エノログ(ワイン醸造技術管理士)、ワイン利酒適正資格(ボルドー第2大学)、シニアワインアドバイザー(日本ソムリエ協会認定)、日本ワインマスター(日本ワインを愛する会認定)をはじめ、現在は日本洋酒輸入協会のワイン委員長も務めておられるとのこと。

1979(昭和54)年入社。1992年からボルドーのシャトー・レイソンでワイン造りに携わり、1996年からはパリに赴き、メルシャン欧州事務所長を務めるなど、ワインの本場で研鑽を重ねてきた藤野さん。豊富な海外経験とワインの知識を買われ、「レ・シタデル・デュ・ヴァン国際ワインコンクール(ボルドー)」をはじめ、現在も権威ある世界的なワインコンクールの審査員を務めておられるという、筋金入りのキャリアの持ち主です。
まさに欧州はもとより、世界のワインを知る男。そんな藤野さんに今回のお薦めのワインついて聞いてみました。

シャトー・マルゴー最高醸造責任者、ポール・ポンタリエ氏と出会う。

藤野 勝久

1992年から私が出向したメドック地区のシャトー・レイソンは、いわゆる1級から5級にランク付けされたボルドー格付けシャトーの1つ下のカテゴリー「クリュ・ブルジョワ」に位置づけられるものでした。そこではブドウの栽培管理からワインの醸造に至るまで、すべての工程の品質管理に携わり、幸運にも一からボルドーのワイン造りを体験することができました。

休みの日にはボルドー中のシャトーを巡りました。常に世界トップクラスと評されるワインやワイン造りがどんなものなのか、実際に自分の目で見、耳で聞き、舌で学んだ経験は、私の大きな財産になっています。1996年からは欧州事務所長としてパリに。丁度その時代、メルシャンでも世界品質のワイン造りを目指そうという気運が高まっていたこともあり、ボルドー五大シャトーの一つ、当時のシャトー・マルゴーの最高醸造責任者ポール・ポンタリエ氏をシャトー・メルシャンの醸造アドバイザーに迎えられないかという、夢のような話が浮上しました。

ポンタリエ氏と言えば、当時の私からするとまさに“雲の上の人”。ボルドー時代に個人的な親交はあったものの、仕事としてそんなことが本当に実現できるのかと思いつつ交渉に当たりました。そしてまたもや幸運なことに、1998年からポンタリエ氏が正式にアドバイザーを引き受けてくだることになったのです。2015年、残念ながら彼は60歳を目前にして帰らぬ人となってしまいましたが、彼からいただいた数々のアドバイスが、シャトー・メルシャンのワイン造りに、今も大きな影響を与えていることに疑いの余地はありません。

2013年8月「うん、すごく良くなったね!」とポンタリエ氏。

あれは確か、2013年の8月の下旬のことだったと記憶しています。それまでポンタリエさんは、日本ワインに対して常々「醸造技術は良いが、栽培にはまだ課題がある」とおっしゃっておられました。それが7度目の来日の際、今回私がセレクトした『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー』の2009年ヴィンテージを試飲していただいたときのこと。メルローといえば、カベルネ・ソーヴィニヨンと並んでボルドーを代表する欧州系品種。ポンタリエ氏はまさに、世界で最もメルローを知り抜いた人物の一人といっても過言ではないと思います。その彼がたった一言「うん、すごく良くなったね!」と評してくださったのです。そのときの彼の笑顔は、今でも決して忘れられません。本当に嬉しかったですね。

一本一本丁寧に特製和紙に包まれた『桔梗ヶ原メルローシグナチャー 2005』

グラスにつく蜜のリングが長熟ワインの証し

これからがまさに飲み頃! 日本ワイン最高峰の赤『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005』

「はじめにブドウありき」。これはシャトー・メルシャンのワイン造りの原点ともいえる言葉ですが、まさにポール・ポンタリエ氏も私たちにブドウの大切さをしっかり教えてくれました。1989年に初めてリリースされ、その年の「リュブリアーナ国際ワインコンクール」でいきなり“大金賞”を獲得し、世界をアッといわせた『桔梗ヶ原メルロー』ですが、長野県塩尻市の桔梗ヶ原で初めてメルローの栽培が行われたのが1976年のこと。いまから丁度40年前に遡ります。それからさまざまな試行錯誤を重ね、本当に力強いブドウが育つようになったと思います。長期熟成にもしっかり耐え得る、世界品質のメルローと自信をもってお薦めできる逸品、それが『桔梗ヶ原メルロー』です。

特に今回お届けするのは、桔梗ヶ原の中でも本当に極上といえるブドウが収穫された年にしか造らない“シグナチャー”。しかもヴィンテージは2005年という、日本ワインでは稀少な長熟もの。でもまだまだ、飲み頃はこれからだと思います。フランス語でワインのことを「VIN(ヴァン)」といいますが、同じく数字の20を「VINGT
(ヴァン)」と発音することにかけて、“20年を過ぎないと本当のグランヴァンの味わいはわからない”などとよくいわれます。その意味でこの『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005』も、まだまだこれからさらに良くなっていく、極めてポテンシャルの高いワインといえるのではないかと思います。

せっかくの最高峰の赤ワインなので、今回は料理もプロにつくってもらいました。東京都港区六本木の「シャトー・メルシャン トーキョー・ゲスト・バル」で用意してもらったのは“フランス産 鴨むね肉のロースト 3種のベリーソース”。ジューシーに焼き上げた鴨肉に添えられた、3種類の果実から丁寧につくられたベリーソースの甘酸っぱさが、『桔梗ヶ原メルロー シグナチャー』のふくよかな果実味と絶妙なハーモニーを奏でます。

ブドウに自信がなければ造れない、無濾過という品質。『シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 無濾過 2012』

もう一本、白ワインも同じく欧州系高級品種のシャルドネから。日本で栽培されるシャルドネの中でも、特に良質のブドウが収穫される長野県北信地区の厳選されたブドウだけを使って造られた『シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 無濾過 2012』。このワインは、今年6月にスロベニア共和国で開催された「リュブリアーナ国際ワインコンクール2016」で“金賞”を受賞したばかり。世界でも高い評価を獲得したお墨付きのシャルドネです。

日本で白ワインといえば、古くから日本固有品種の甲州などが造られていましたが、世界の市場を見渡すと、やはり欧州系品種の良いワインがないと高い評価が得られない。そうした背景があって、シャトー・メルシャンでも1990年頃から本格的なシャルドネの栽培を始めました。その意味でシャルドネの歴史はまだ30年くらい。これからが、さらにブドウの状態がよくなる時期を迎えます。

ここでお薦めする『北信シャルドネ 無濾過 2012』の「無濾過」とは、醸造したワインを澱引き後一切濾過せず、そのまま瓶詰めしたワインのことです。一切濾過しないということは、ありのままの状態でお届けするということ。複雑味も含めてまるごと瓶に詰め込みます。

『桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005』に合わせた料理“フランス産 鴨むね肉のロースト 3種のベリーソース”
『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005』『シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 無濾過 2012』

シャトー・メルシャンでも、『北信シャルドネ』で「無濾過」へのチャレンジは初めてのこと。極めて良質なブドウが収穫された年のもので初めて実現しました。また、品質的にも安定したものでなければ商品化することはできませんので、最高レベルの醸造技術が求められます。その意味で、シャトー・メルシャン最高峰の白、『北信シャルドネ』でのファーストリリースとなるこの無濾過が「リュブリアーナ国際ワインコンクール2016」で“金賞”を受賞したということは、私たちがこれまで長年に亘って磨き上げてきた栽培および醸造の技術が、世界的に認められたという証しにもなるものと思います。今はまだ、ワイナリー限定品として販売できる量しか造れませんが、今後シャトー・メルシャンの新しい品質として、無濾過にも挑戦していきたいと考えています。

無濾過でしっかりブドウの厚みを感じられる『北信シャルドネ 無濾過 2012』。このワインに合わせた料理は、“カナダ産 オマール海老のグリル”と“スペイン産生ハム ハモンセラーノとクレソンのハーブサラダ ホワイトバルサミコのドレッシング”の盛り合わせ。濃厚な海老やクリーミーな生ハムの味わいにもしっかり合う、『北信シャルドネ 無濾過 2012』のブドウの力強さを実感していただけるのではないでしょうか。

この料理も「シャトー・メルシャン トーキョー・ゲスト・バル」の人気料理です。お店では、私たちが造りあげてきたシャトー・メルシャンの様々なワインと共に、旬の食材を活かしたワインによく合う多彩なお料理をお愉しみいただけます。ワインはカジュアルにグラスでオーダーできるアイテムも多数取り揃えています。

日本ワインの今を体感するにはもって来いのワインバル。これから年末に向けて、お酒を飲む機会が増えるシーズンでもあります。ぜひ一度お誘い合わせの上、訪ねてみてはいかがでしょうか? 私のようにワインについてしっかり説明して(語って?)くれる熱いスタッフもお待ちしております。ワインにあまり詳しくないという方にもお薦めのお店です。

www.chateaumercian.com/places/tgb/

欧州ワインに精通した男、藤野勝久が選んだ『シャトー・メルシャン』最高峰の赤と白。

シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005/シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 無濾過 2012[ワイナリー限定]

  • シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005

    【産地】長野県 桔梗ヶ原地区
    【使用品種】メルロー100%
    【発酵】28〜32度で約14日間発酵後、
        樽に移し樽内でマロラクティック発酵
    【育成】オーク樽(新樽100%)にて約19カ月間育成
    【テイスティングノート】
    明るめのきれいなルビー色。フルボディ。
    きれいなロースト香に、キャラメル、黒コショウ、鉄分、チェリーやカシスなどの果実、少々のなめし革と、上品でふくよかさも感じる香り。味わいはしなやかで、極めて繊細。
    バランスよく、造りの丁寧さが感じられます。
    【マリアージュ】
    仔牛肉のソテー、ヒレ肉をミディアム・レアで、あるいは鹿肉のカルパッチョや牛肉のテリーヌなど冷製料理にもよく合います。

  • シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 無濾過 2012[ワイナリー限定]

    【産地】長野県 北信地区
    【使用品種】シャルドネ100%
    【発酵】オーク樽にて20〜22度で約20日間発酵
    【育成】オーク樽にて約6カ月間育成
    【テイスティングノート】
    輝きのある金色。
    マンゴー、パパイヤなどのトロピカルフルーツとナッツ、アーモンド、ココナッツ、ヴァニラのようなオーク樽由来の香りがバランスよく溶け込んでいます。アンズ、黄桃など熟した果実味と無濾過に由来する酵母(澱)からのうまみがバランスよく口中に広がります。
    【マリアージュ】
    ホワイトソース仕立ての魚料理、サーモンのムニエル、天婦羅。鴨肉のローストなどによく合います。

藤野 勝久 Katsuhisa Fujino
シャトー・メルシャン シニア・ワインメーカー

1979年入社。1992年よりシャトー・レイソン(ボルドー)出向。1996年より欧州事務所長を務めるなど、豊富な海外経験を活かし、レ・シタデル・デュ・ヴァン国際ワインコンクールをはじめ、多数のコンクールの審査員に選抜。エノログ(ワイン醸造技術管理士)他、ワインに関する数々の資格を保有。故シャトー・マルゴー最高醸造責任者ポール・ポンタリエ氏との公私にわたる親交を通し、そのワイン哲学をシャトー・メルシャンブランドの育成に生かしている。 世界に誇る、感動を与える日本ワインを造ること、そして伝道師として日本ワインのテロワールのメッセージを、国内はもとより世界へ発信することが生涯の目標。

欧州ワインに精通した男、藤野勝久。シャトー・メルシャン最高峰のワインを語る。

藤野勝久 一見、厳格な学者のようにも見える藤野さん、それもそのはず、ワインに関する保有資格が半端ではない。
エノログ(ワイン醸造技術管理士)、ワイン利酒適正資格(ボルドー第2大学)、シニアワインアドバイザー(日本ソムリエ協会認定)、日本ワインマスター(日本ワインを愛する会認定)をはじめ、現在は日本洋酒輸入協会のワイン委員長も務めておられるとのこと。

1979(昭和54)年入社。1992年からボルドーのシャトー・レイソンでワイン造りに携わり、1996年からはパリに赴き、メルシャン欧州事務所長を務めるなど、ワインの本場で研鑽を重ねてきた藤野さん。豊富な海外経験とワインの知識を買われ、「レ・シタデル・デュ・ヴァン国際ワインコンクール(ボルドー)」をはじめ、現在も権威ある世界的なワインコンクールの審査員を務めておられるという、筋金入りのキャリアの持ち主です。
まさに欧州はもとより、世界のワインを知る男。そんな藤野さんに今回のお薦めのワインついて聞いてみました。

シャトー・マルゴー最高醸造責任者、ポール・ポンタリエ氏と出会う。

1992年から私が出向したメドック地区のシャトー・レイソンは、いわゆる1級から5級にランク付けされたボルドー格付けシャトーの1つ下のカテゴリー「クリュ・ブルジョワ」に位置づけられるものでした。そこではブドウの栽培管理からワインの醸造に至るまで、すべての工程の品質管理に携わり、幸運にも一からボルドーのワイン造りを体験することができました。

休みの日にはボルドー中のシャトーを巡りました。常に世界トップクラスと評されるワインやワイン造りがどんなものなのか、実際に自分の目で見、耳で聞き、舌で学んだ経験は、私の大きな財産になっています。1996年からは欧州事務所長としてパリに。丁度その時代、メルシャンでも世界品質のワイン造りを目指そうという気運が高まっていたこともあり、ボルドー五大シャトーの一つ、当時のシャトー・マルゴーの最高醸造責任者ポール・ポンタリエ氏をシャトー・メルシャンの醸造アドバイザーに迎えられないかという、夢のような話が浮上しました。

ポンタリエ氏と言えば、当時の私からするとまさに“雲の上の人”。ボルドー時代に個人的な親交はあったものの、仕事としてそんなことが本当に実現できるのかと思いつつ交渉に当たりました。そしてまたもや幸運なことに、1998年からポンタリエ氏が正式にアドバイザーを引き受けてくだることになったのです。2015年、残念ながら彼は60歳を目前にして帰らぬ人となってしまいましたが、彼からいただいた数々のアドバイスが、シャトー・メルシャンのワイン造りに、今も大きな影響を与えていることに疑いの余地はありません。

2013年8月「うん、すごく良くなったね!」とポンタリエ氏。

あれは確か、2013年の8月の下旬のことだったと記憶しています。それまでポンタリエさんは、日本ワインに対して常々「醸造技術は良いが、栽培にはまだ課題がある」とおっしゃっておられました。それが7度目の来日の際、今回私がセレクトした『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー』の2009年ヴィンテージを試飲していただいたときのこと。メルローといえば、カベルネ・ソーヴィニヨンと並んでボルドーを代表する欧州系品種。ポンタリエ氏はまさに、世界で最もメルローを知り抜いた人物の一人といっても過言ではないと思います。その彼がたった一言「うん、すごく良くなったね!」と評してくださったのです。そのときの彼の笑顔は、今でも決して忘れられません。本当に嬉しかったですね。

これからがまさに飲み頃! 日本ワイン最高峰の赤『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005』

「はじめにブドウありき」。これはシャトー・メルシャンのワイン造りの原点ともいえる言葉ですが、まさにポール・ポンタリエ氏も私たちにブドウの大切さをしっかり教えてくれました。1989年に初めてリリースされ、その年の「リュブリアーナ国際ワインコンクール」でいきなり“大金賞”を獲得し、世界をアッといわせた『桔梗ヶ原メルロー』ですが、長野県塩尻市の桔梗ヶ原で初めてメルローの栽培が行われたのが1976年のこと。いまから丁度40年前に遡ります。

一本一本丁寧に特製和紙に包まれた『桔梗ヶ原メルローシグナチャー 2005』 グラスにつく蜜のリングが長熟ワインの証し

それからさまざまな試行錯誤を重ね、本当に力強いブドウが育つようになったと思います。長期熟成にもしっかり耐え得る、世界品質のメルローと自信をもってお薦めできる逸品、それが『桔梗ヶ原メルロー』です。

特に今回お届けするのは、桔梗ヶ原の中でも本当に極上といえるブドウが収穫された年にしか造らない“シグナチャー”。しかもヴィンテージは2005年という、日本ワインでは稀少な長熟もの。でもまだまだ、飲み頃はこれからだと思います。フランス語でワインのことを「VIN(ヴァン)」といいますが、同じく数字の20を「VINGT(ヴァン)」と発音することにかけて、“20年を過ぎないと本当のグランヴァンの味わいはわからない”などとよくいわれます。その意味でこの『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005』も、まだまだこれからさらに良くなっていく、極めてポテンシャルの高いワインといえるのではないかと思います。

せっかくの最高峰の赤ワインなので、今回は料理もプロにつくってもらいました。東京都港区六本木の「シャトー・メルシャン トーキョー・ゲスト・バル」で用意してもらったのは“フランス産 鴨むね肉のロースト 3種のベリーソース”。ジューシーに焼き上げた鴨肉に添えられた、3種類の果実から丁寧につくられたベリーソースの甘酸っぱさが、『桔梗ヶ原メルロー シグナチャー』のふくよかな果実味と絶妙なハーモニーを奏でます。

ブドウに自信がなければ造れない、無濾過という品質。『シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 無濾過 2012』

もう一本、白ワインも同じく欧州系高級品種のシャルドネから。日本で栽培されるシャルドネの中でも、特に良質のブドウが収穫される長野県北信地区の厳選されたブドウだけを使って造られた『シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 無濾過 2012』。このワインは、今年6月にスロベニア共和国で開催された「リュブリアーナ国際ワインコンクール2016」で“金賞”を受賞したばかり。世界でも高い評価を獲得したお墨付きのシャルドネです。

『桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005』に合わせた料理“フランス産 鴨むね肉のロースト 3種のベリーソース”

日本で白ワインといえば、古くから日本固有品種の甲州などが造られていましたが、世界の市場を見渡すと、やはり欧州系品種の良いワインがないと高い評価が得られない。そうした背景があって、シャトー・メルシャンでも1990年頃から本格的なシャルドネの栽培を始めました。その意味でシャルドネの歴史はまだ30年くらい。これからが、さらにブドウの状態がよくなる時期を迎えます。

ここでお薦めする『北信シャルドネ 無濾過 2012』の「無濾過」とは、醸造したワインを澱引き後一切濾過せず、そのまま瓶詰めしたワインのことです。一切濾過しないということは、ありのままの状態でお届けするということ。複雑味も含めてまるごと瓶に詰め込みます。

『シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005』『シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 無濾過 2012』シャトー・メルシャンでも、『北信シャルドネ』で「無濾過」へのチャレンジは初めてのこと。極めて良質なブドウが収穫された年のもので初めて実現しました。また、品質的にも安定したものでなければ商品化することはできませんので、最高レベルの醸造技術が求められます。その意味で、シャトー・メルシャン最高峰の白、『北信シャルドネ』でのファーストリリースとなるこの無濾過が「リュブリアーナ国際ワインコンクール2016」で“金賞”を受賞したということは、私たちがこれまで長年に亘って磨き上げてきた栽培および醸造の技術が、世界的に認められたという証しにもなるものと思います。今はまだ、ワイナリー限定品として販売できる量しか造れませんが、今後シャトー・メルシャンの新しい品質として、無濾過にも挑戦していきたいと考えています。

無濾過でしっかりブドウの厚みを感じられる『北信シャルドネ 無濾過 2012』。このワインに合わせた料理は、“カナダ産 オマール海老のグリル”と“スペイン産生ハム ハモンセラーノとクレソンのハーブサラダ ホワイトバルサミコのドレッシング”の盛り合わせ。濃厚な海老やクリーミーな生ハムの味わいにもしっかり合う、『北信シャルドネ 無濾過 2012』のブドウの力強さを実感していただけるのではないでしょうか。

この料理も「シャトー・メルシャン トーキョー・ゲスト・バル」の人気料理です。お店では、私たちが造りあげてきたシャトー・メルシャンの様々なワインと共に、旬の食材を活かしたワインによく合う多彩なお料理をお愉しみいただけます。ワインはカジュアルにグラスでオーダーできるアイテムも多数取り揃えています。

日本ワインの今を体感するにはもって来いのワインバル。これから年末に向けて、お酒を飲む機会が増えるシーズンでもあります。ぜひ一度お誘い合わせの上、訪ねてみてはいかがでしょうか? 私のようにワインについてしっかり説明して(語って?)くれる熱いスタッフもお待ちしております。ワインにあまり詳しくないという方にもお薦めのお店です。

www.chateaumercian.com/places/tgb/

『北信シャルドネ 無濾過 2012』に合わせた料理

シャトー・メルシャン トーキョー・ゲスト・バル

欧州ワインに精通した男、藤野勝久が選んだ『シャトー・メルシャン』最高峰の赤と白。

  • シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー シグナチャー 2005

  • シャトー・メルシャン 北信シャルドネ 無濾過 2012[ワイナリー限定]