お祝いの気持ちを包む「ハレの日のワイン」
2018.10.25
誕生日パーティーや結婚祝い、引っ越し祝いなどのおめでたい機会に、ワインを贈ろうという方も多いと思います。そんな「ハレの日のワイン」を渡すとき、ボトルのラッピングにひとアレンジ加えるだけで、オシャレにお持たせワインを演出することができます。 今回は、風呂敷を使ってオシャレにお持たせワインを演出するラッピング術を、風呂敷専門店「むす美」の山田 悦子(やまだ えつこ)さんに教えてもらいました。
まずは押さえたい、基本の“瓶包み”
風呂敷を使った包み方はさまざまですが、まずは基本の包み方をマスターしましょう。風呂敷のサイズは、ボトルの形状にもよりますが、二巾(約68センチ)のものを選ぶと、ちょうどいい仕上がりになります。
初めにボトルを風呂敷の中央に置きます。手前と奥の端をつまみ、ボトルの口元で“真結び”にします。
真結びとは、一度結べば解けづらく、それでいて解きたいときは簡単に解ける結び方のことです。
※ 結び方について、本記事の末尾のリンク「“真結び”の結び方について」よりご覧ください。
次に左右の端を掴んだままボトルの裏側へと回します。ここで左右を持ち替え、端を交差させてボトルの手前に回します。その際、生地とボトルに隙間ができないようにしっかりと引っ張りましょう。
ボトルの正面で真結びをつくります。ボトルの形状によって上げ下げをし、見栄えを整えましょう。シャンパンボトルの場合は、ボトルが口に向かって狭まり始めるあたりで結ぶと、仕上がりがきれいに整います。
口元の真結びをひとつほどき、くるくると左右反対方向にねじります。ここが持ち手になるのですが、ねじることで強度が増し、仕上がりの見栄えもよくなります。
最後にねじった両端で真結びをし、持ち手をつくって完成です。
柄を変え、アレンジを変えて楽しむ
ワインの瓶を包むには、正方形の風呂敷がもっとも適していますが、スカーフをはじめご自宅にあるどんな布でもラッピングは可能です。華やかに見せるポイントは、風呂敷の生地をボトルにしっかりフィットさせることと、結び目やアクセントをふわっと仕上げること。
写真の右2つはスカーフを用いたアレンジです。このように基本の瓶包みの他にも、輪ゴムを使って結び目をリボンのようにアレンジすることで、より一層華やかな印象になります。ワインを贈る相手がどんな顔をしてくれるだろう…そんなことを想像しながら、絵柄や結び方をアレンジしていくと、包む楽しみが増えますよ。
特別な日のためのとっておきのワイン
こんな特別な贈りものにオススメしたいワインがカバ(CAVA)です。
カバとは、フランスのシャンパーニュと同じ伝統製法(瓶内二次発酵)でつくられるスパークリングワインで、主にスペイン・カタルーニャ地方を中心に生産されています。
まずご紹介したいのは、1551年創業の名門「コドーニュ」社による、創業者の名前を冠した「ジャウマ・デ・コドーニュ」です。同社の取り組みにより、カバへの使用が認められた国際品種のシャルドネとピノ・ノワール、さらには伝統品種のチャレッロを使用しています。現スペイン国王の結婚式にも使用されたというプレミアムカバで、フレッシュさと果実味を保った味わいが特長です。
続いてご紹介するのは、同じコドーニュより「キュベ・レイナ・マリア・クリスティーナ」。1897年にコドーニュをスペイン王室御用達に任命した王妃の名前(マリア・クリスティーナ)と王家の紋章を冠し、任命から100年後の1997年に発売されました。
2008年ヴィンテージより、カバで初めて“ブラン・ド・ノワール”を名乗ることが許されており、ピノ・ノワール100%ならではの高貴さとまろやかさを兼ね揃えた味わいです。
包むのは、贈る相手への“心遣い”
「大切な誰かを想いながら品物を包む時間、それも風呂敷の楽しみ」だと山田さん。日本の知恵や心を育んできた風呂敷という美意識を、このように現代のライフスタイルに取り入れてみてはいかがでしょう。
贈る相手の喜ぶ顔を想像しながら、包み方を工夫したり、贈りものに合わせて華やかさをアレンジしてみたり。ハレの日のワイン、気持ちを込めて包んでみませんか?
取材協力
プロフィール
山田 悦子(山田繊維株式会社 / むす美)
テキスタイルデザイナー、テーブルコーディネーターを経て、現在京都に本拠を構える風呂敷メーカー山田繊維 / Shopむす美のアートディレクター及び広報を務める。東京都・神宮前のオフィシャルショップ「むす美」では、先進的なデザインも多く展開。風呂敷の魅力を伝えるワークショップや文化事業を国内外で開催する。