“野獣派”を虜にするキュートな港町、コリウールに恋をした

2018.08.02

南仏ルーシヨン地方の最南端の町コリウールは、知る人ぞ知る小さなリゾート地。町全体がカラフルでまるでアートのよう。それもそのはず、この町は、かつて“野獣派”と呼ばれたアーティストたちを虜にした町なのです。そこまで人を惹きつける、この町の魅力とは?

野獣派がときめくキュートな町

野獣派(フォービズム)とは、20世紀のはじめに一世を風靡した洋画の表現手法のこと。ビビッドな色使いや、写実ではなく主観を重視した自由でのびやかな筆使いが、当時の評論家に「まるで野獣の檻の中にいるよう」と評されたことから、その名がつきました。

そんなフォービズム発祥の地がこのコリウール。のちに色の魔術師とも言われたフランス人画家のマティスが、コリウールの町に降り立った際この街のあまりにビビッドな色彩に衝撃を受けて生まれたのがフォービズムなのです。

ピンクやオレンジの外壁に緑や紫の窓枠、空と海の青、そして元気な南の植物や花が交わる町は、まるで町そのものが野獣派の作品のよう。かのピカソも魅了されて、お隣のスペインから通い詰めていたそう。

やっぱりアートが身近

石畳の細い道と、両側の建物の鮮やかな色彩がたまらない。そんなコリウールの町にはやっぱりアートが似合います。迷路のような路地には30ものアートギャラリーが密集し、レストランの壁にも絵がずらりと並んでいます。どの絵も現代に息づいている野獣派といった感じ。

道にはキャンバスに絵の具を広げるアーティストたち。お土産の小物も他では見ない色使い。絵描きでなくてもウキウキしてしまう。色鮮やかなアイスを買って町を歩いているだけで心が踊り、自分も町の一部になってしまうような感覚を味わえるのです。

暮らしの中にも“心の色”を

アンリ・キンタ氏

街の人々の暮らしの中にも“野獣的”色使いは溶け込んでいます。“太陽の布”として知られ、日本でも人気の「レトワール・デュ・ソレイユ」は実はここルーシヨン地方が発祥。オーナー兼デザイナーのアンリ・キンタ氏は、この地域の伝統的な色から始まり、世界中の景色や心の風景を色とパターンに織り込んで表現している、まさに現代の野獣派。

ブランドの代表的な布「コリウール」は、彼の幼い頃の記憶にあるコリウールの港に並んでいたカラフルな小舟がインスピレーションになっているそうです。「レトワール・デュ・ソレイユ」は現地でも大人気。家のテーブルクロスから車の座席まで、暮らしに欠かせないアイテムとしていたるところで目にします。

ワインにはアンチョビを

ビーチが町の一部というのもコリウールの魅力。ピカソが子どもを連れてビーチでよく遊んでいた、というエピソードも残っています。カラフルな町からそのまま続く、息を飲むほどに鮮やかな地中海。そこで獲れるアンチョビがコリウールの名産品です。

色々な種類のオイルや塩、レモンやワインビネガーに漬けるなど味のバリエーションが豊かで、パッケージもとってもキュート。現地ではこれをサラダに混ぜたり、パンの上に乗せたりして、海辺でワインと一緒に食すのが至福の時間。

ピカソも愛したかもしれない“美食ワイン”

どこを切り取っても絵になる可愛い町コリウール。その町の外に広がるのは、棚田のようなワイン畑と海の絶景です。強い日差しが照りつける海沿いの斜面という環境で、ブドウの木々は風に揺さぶられながらワイルドに育っています。

急斜面のため機械が入ることができず、全てのブドウが人の手で収穫されてつくられるワインは、フランスでもダントツにクオリティが高い美食ワインとして知られています。

ミニマムな畑が多いコリウール地域で、最大の畑面積を持っているのが、ドメーヌ・カズのプレミアムワイン、「レ・クロ・ド・ポリーユ」。もっとも良い状態のブドウを最適なタイミングで摘むことができるため、この土地の魅力を最大限に活かしたワインとして地元の人たちにも愛されています。

海の塩の風味に加え、近くに生えているユーカリやイチジクの木の香りも取り込んだ豊かな赤ワイン。「波のしぶきを感じる」という詩的な白ワイン。畑には100歳を超えるブドウの木もあるというから、ピカソも同じブドウのワインを飲んでいたのかも。

自宅で気軽にコリウールスタイルを愉しめるセット

DRINXでは、「レ・クロ・ド・ポリーユ」と、ご紹介した「レトワール・デュ・ソレイユ」のランチョンマットのセットや、テーブルランナーとのセットを販売しています。
南仏らしいビビッドな色彩のマットをテーブルに敷いて、コリウールスタイルを自宅で気軽に愉しんでみてくださいね。