西利×SVB 京都から生まれる、食文化の未来

2018.03.08

こんにちは。柔らかい日差しに春の訪れを感じる季節となりました。SPRING VALLEY BREWERY KYOTOも京都で初めての春を迎えます。今回は、京都の四季とともに歩み続ける「京つけもの 西利」を営む株式会社西利 代表取締役社長の平井誠一さんをお迎えして、SVB KYOTOのヘッドブリュワー三浦太浩と、お漬物とビールの共通項、“発酵”から生まれる食文化の未来について語ります。

ビールとお漬物の運命の出会い

SVB KYOTOでは、定番6種のビールのペアリングセットを提供しています。京都ならではのペアリングのひとつがビールとお漬物のペアリング「JAZZBERRY×うり奈良漬(西利)とブリーチーズ」です。今回の対談は、このペアリングのきっかけから話が始まりました。

平井さん(以下、敬称略):SVBのみなさまで弊社にお越しいただいて、ビールとお漬物って合うんだろうか?という話から始まりましたね。

三浦:SVB KYOTOは、町屋を改装した店舗で京都の伝統と文化の素晴らしさを可能な限り取り入れつつ、ビールの魅力を深めていこうというコンセプトでスタートしました。まずはこの地で長く活躍されている先輩方にお話を伺おうと、西利さんにご連絡して、大勢で押し掛けさせていただきました。その時いろいろとお話しましたが、SVBはペアリングでビールを楽しむことを大切にしてきたので、まずはそれをやってみようと、西利さんとSVBでペアリング大会を実施することになりました。

平井:定番のクラフトビールを6種類お持ちいただいて、うちのお漬物は確か20種類ぐらい用意したんですよね。

三浦:単純に計算すると組み合わせは120種類。まずお漬物をほおばり、そしてビールを口に含む。それをただひたすらやりましたね。

平井:お漬物は日本酒やご飯のお供のイメージがありますが、ビールとの相性がこんなにいいことはこの時初めて気がつきました。基本的にはどれも合うなと思ったのですが、食べ合わせていくと、あっ!これだ、と思う組み合わせがあって、まるで運命の人に出会ったような感じでしたね。

三浦:ペアリングを色々と試していると、口の中でそれまでとは明らかに違う化学反応が起きているような感じに出会えるときがあるんですよね。

平井:その通りですね。新しい味が生まれるというか…、まさに「おいしい!」という感動でした。

三浦:そんな中で、ベストマッチに選ばれたのが今回ペアリングセットに組み込まれている「JAZZBERRY」×「うり奈良漬」でした。

京都の食文化に学ぶこと

三浦:西利さんは創業から80年近いと伺っていますが、その歴史の中で京都の食文化はどのように変わってきたのでしょうか。

平井:戦後には食の欧米化が進み、時代のニーズに合わせた商品開発が必要でした。そこで私たちの転機になったのがおよそ40年前に開発した「京のあっさり漬」です。このお漬物のベースとなっているのは京料理の昆布だし文化で、昆布だしに漬け込むことで旨味が加わり、それぞれの野菜にあった適量の塩分に抑えてお漬物を作ることができています。私たちは、お漬物の原点はいかに野菜をおいしく食べてもらうかだと考えています。この考え方から、従来の食べ方にこだわりすぎることなく、ワインに合わせるなど、その時代の食文化にあう楽しみ方を提案してきました。

その後、文化というよりも健康の観点で和食の良さが見直されることになり、発酵食が人々の健康を支えるということが知られるようになってきました。そんな中で京都の伝統発酵漬物「すぐき」から発見されたラブレ乳酸菌を使う「西利乳酸菌ラブレ」シリーズを開発しました。また、お漬物を下味つきの常備菜として活用するなど、新たな食べ方の提案も続けています。

三浦:私はこれまではお漬物の漬け方などはよくわかっていませんでしたが、西利さんとお付き合いさせていただくようになって、お漬物の世界の奥深さに驚いています。

平井:私も以前からビールは大好きでしたが、いわゆる一般のピルスナータイプのビール一辺倒だったので、今回のご縁でビールにもさまざまな色や味わいがあることを知り、とてもいい機会でした。

クラフトビールとお漬物の共通点

平井:最近は出張に行くと、その地方のクラフトビールを飲むことにしています。ひと昔前に比べて、最近はおいしいものが本当に多いですね。

三浦:クラフトビールをつくるブリュワーさんたちは横のつながりがしっかりしていて、醸造方法などの情報交換をよくしています。そういうコミュニケーションが全体のレベルアップにつながっているのではないかと思います。私も京都のクラフトビールを盛り上げたいと、周辺のブルワリーの方々とよく話し合っています。

平井:お漬物にも同じことがありました。「京つけもの」というブランドはもともとそれぞれの家の味から生まれたものですが、どこかが手を抜くことなくそれぞれに良いお漬物を作っていたからこそブランドになりえたものです。

SVBのみなさまとお話ししていて、クラフトビールとお漬物、特にあっさり漬けは似ているところがあると感じています。それぞれに源流がしっかりとありつつ、それを活用して新たなものを生み出しているという点です。京都では“流行りだから”と新しいものを上辺だけで取り入れることにはとても嫌悪感がありますが、基本がしっかりしていてそれを工夫していくことにはとても理解があります。

伝統の街京都からおこす革新

三浦:普段スタンダードなビールに親しんでいる方々にとって、クラフトビールはとても目新しいものに思われることもあります。けれども、私がクラフトビールづくりで大切にしているのは、キリンがおよそ100年の歴史の中で培ってきた醸造技術を守り、活用することだと思っています。これまで使われていた製法はもちろん、使われなくなっていたものを掘り起こすことで、もっと新たな挑戦はできると思っています。

平井:SVB KYOTOで提供されている「Kyoto2017」もそんなコンセプトでつくられているのでしょうか?

三浦:このビールは1988年にキリンビールの旧京都工場内にあった「京都ミニブルワリー」で造られていた「京都1497」に着想を得て造った新たなビールです。伝統を受け継ぎつつも、少しずつ原料やスペックを変えながら進化させています。また、今後も京都だからこそできるビールづくりにもどんどん取り組んでいこうと考えています。西利さんにもさらにお力を貸していただくかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

京都で代々伝統を受け継ぎながらも革新を続けてきた平井さんとの話は尽きることがありません。そんなコミュニケーションの中から生まれたアイデアの蕾は、まもなく咲き始める桜のように、大きさはまちまちながらそれぞれに膨らみ、うっすらと色づき、夢に向かってほころび始めます。先人の歩んだ道を参考に、SVB KYOTOを舞台とする革新はまだ始まったばかりです。

次々に花開くすばらしい未来への挑戦。これからもぜひ楽しみにしていていただけたら幸いです。

プロフィール

平井 誠一

株式会社西利 代表取締役社長。
1940年に漬物の製造卸業者として創業した会社は、「旬 おいしく、やさしく」をテーマに安心安全な漬物を届ける小売業に転換。四季折々の野菜を使った健康に貢献できるおいしいお漬物を、時代に合わせた提案をしながら食卓に届け続けている。

三浦 太浩

SPRING VALLEY BREWERY KYOTOのヘッドブリュワー。
マーケティングマネージャーを経て、ヘッドブリュワーに転身。京都ならではのビールづくりに挑戦中。

取材協力

京つけもの 西利

<旬 おいしく、やさしく。>の精神で、看板商品の千枚漬をはじめ、四季折々に多種多彩な漬物を送り出す「京つけもの 西利」。
日本古来の優れた伝統食品であり、発酵作用を活かした健康食品である漬物の可能性を研究し、現代人の味覚に合う味わいも追求。野菜のみずみずしさが活きる「京のあっさり漬」という新ジャンルを切り開き、乳酸菌で漬けた「健康漬物ラブレ」シリーズも好評。

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