知ればもっと好きになるクラフトビールの世界

2018.03.01

ここ数年で一層盛り上がりを見せているクラフトビール。多様で個性的なクラフトビールが手軽に愉しめるようになったことで、ビールの愉しみ方は、今までの「とりあえずビール」から、「どんなタイプのビールを飲むか」という感覚へとシフトしつつあります。そんな今だからこそ、クラフトビールの世界を知ることで、選び方や飲み比べる幅を広げてみてはいかがでしょうか。きっと自分好みのビールを見つける手がかりになるはずです。

歴史で紐解くクラフトビール

そもそもクラフトビールとは、小規模なビール醸造所(マイクロブルワリー)で職人たちが丁寧に作り上げたビールを、手工芸品(クラフト)に例えて呼んだのが始まりとされています。

ビールづくりは中世ヨーロッパで始まりました。その後、ビール醸造の技術は、後の世代に受け継がれ、ヨーロッパの多くのつくり手へと広まっていきました。やがて新大陸へと移住した人々とともに、クラフトビールはアメリカで花開きます。

アメリカのビール醸造者協会ブルワーズ・アソシエーションでは、クラフトビールメーカーをこう定義しています。

1.小規模であること 2.独立していること 3.伝統的であること

しかしながら、今では世界的に大きく成長したクラフトブルワリーもあり、クラフトビール=少量製造とは限らなくなっています。
伝統的なスタイルをさらに進化させた革新的なビール、ユニークな原料や製法を駆使した独創的なビールなど、つくり手の感性と創造性が愉しめるのがクラフトビールの魅力だと言えます。

ところで、日本のクラフトビールの波はいつ頃やってきたと思いますか?

1994年にビールの酒税法が改正されたことを理由に、全国的にブルワリーが誕生、いわゆる“地ビール”ブームが巻き起こります。しかし、トレンドはそう長くは続きませんでした。技術やノウハウが伴わなかったことや、品質に対して価格設定が高めだったことも原因とされています。

それでも諦めずにビール醸造を追い求め続けたブルワリーは、日本はもとより世界でも愛されるブランドを確立していきます。日本におけるクラフトビールが日の目を見るのはこの頃だったと言えるでしょう。

発酵方法によって異なるビールの種類

そもそもビールには多くの種類がありますが、発酵方法の違いによって、それらは大きく3つに分類されます。

1つめは、長年使われてきたエール酵母による“上面発酵”。20℃前後で約3〜5日間かけて発酵させていく醸造方法です。香りなどの成分がより多く含まれ、フルーティーで華やかな香りを持っており、「ペールエール」のほか、「IPA」や「ヴァイツェン」、「スタウト」にこの製法が用いられます。

2つめは、15世紀後半〜16世紀前半のヨーロッパで用いられ始めたラガー酵母による“下面発酵”です。ラガー酵母は原産地の気候も影響し、エール酵母と比べて低温で活発になります。そのため10℃前後で約1週間をかけて発酵を行い、雑味がなく、スッキリとした味わいのラガー系のビールが仕上げられます。代表的なスタイルとして「ピルスナー」にこの製法が用いられます。

そして、3つめの方法が“自然発酵”であり、自然界に存在する野生酵母が利用されます。空気中や樽に付着した酵母を用いて発酵させたビールや、フルーツを加えて華やかな香りが愉しめるものもあります。

6つのビアスタイルから自分好みの一杯を

発酵方法によって大きく3つに区別されるビールですが、細かく定義していけば100種類以上に分けることもできます。ここでは、その中でも特に有名な6種類のビアスタイルをご紹介します。

01. ピルスナー

世界中で醸造されるビールの大半を占めるのが、このピルスナー。生誕地となるチェコ・ピルゼン地方がその名の由来です。ホップの苦味とスッキリ爽快なのどごしが特徴的なスタイルで、世界各国で愛されている定番中の定番。日本で親しまれているビールもこのスタイルが多くみられます。

02. ペールエール

上面発酵を用いた代表的なビールです。イギリスやベルギーでは定番のスタイルで、豊かな香りとホップ由来のアロマ、苦味、モルトの甘みがバランス良く調和したスタンダードビールです。ピルスナーと比較すると、しっかりとした苦味と濃さが感じられるでしょう。

03. IPA

IPAとは、インディアペールエールの略称。18世紀末にイギリスからインドへとビールを輸送するにあたり、長期の航海中に劣化しないよう、ホップを大量に使用したことがきっかけとなり、誕生しました。一般的なビールに比べ、アルコール度数はやや高めですが、ホップのほどよい苦味が愉しめます。グレープフルーツなどの柑橘類の香りが特長的で、ハーブのような香りが感じられるものもあります。

04. ヴァイツェン

小麦麦芽を50%以上使ってつくるビールで、ドイツでは14世紀からつくられてきました。バナナのようなフルーティーな香りは、ヴァイツェン酵母によるもの。苦味も少なくやさしい味わいのため、女性からの人気も高いビールです。豊かな泡立ちもその特長で、英語では「ウィートビール」と呼ばれています。

05. スタウト

ローストした麦芽に由来する漆黒の色合いと、きめ細かな泡、コーヒーのような風味とクリーミーな泡が特長です。イギリス生まれのエール系ビール「ポーター」がアイルランドに伝わり、つくられるようになったビールで、今や同国を代表するスタイルとなりました。砂糖を原料の一部に使用しているものもあります。

06. フルーツビール

その名の通り、フルーツの旨味がとけ込んだビールです。オレンジ、リンゴ、桃などのフルーツを漬け込んだり、果汁を加えて醸造されます。“ビールが苦手”という人でも、これは飲みやすいと感じるかもしれません。ベルギーでは「さくらんぼビール」が有名ですが、日本でも各地の特産フルーツを使用したフルーツビールに出会えます。

クラフトビールが愉しめる飲食店も増え、今やスーパーやコンビニでも買えるようになりました。ビアスタイルそれぞれの特長を知ったうえで、たくさんのクラフトビールに触れてみることで、ぜひ自分好みのビールを見つけてみてください。

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