【2016年11月レポート】シャトー・メルシャン テイスティング&マリアージュセミナー

2016.12.15

11月のテイスティング&マリアージュセミナーは、「シャトー・メルシャンの歴史を識り、その真価に触れる 第二弾」でした。毎回、ほぼ即日完売となるほどご好評いただいておりますこのセミナーは、Monthly Chateau Mercianと連動した内容となっております。
今回は、『きいろい秋キュヴェ・ウエノセット』にちなみ、当日に副題として「キュヴェ・ウエノ」を冠しました。


〜シャトー・メルシャンの歴史を識り、その真価に触れる 第二弾「キュヴェ・ウエノ」〜

この日は米川正義講師だけでなく、勝沼ワイナリー(現シャトー・メルシャン)の元工場長であり、『シャトー・メルシャン 甲州きいろ香』を生み出すきっかけとなったブドウを育てた上野園のヴィンヤード・オーナーでもあるシャトー・メルシャン上野昇がゲスト講師として登場、「キュヴェ・ウエノ」ワインにフォーカスしたセミナーとなりました。

いまではワインの本場欧州からも注目されるようになった日本固有のブドウ品種”甲州”ですが、かつては”個性が目立たず平凡”と評され、日本の畑からは姿を消そうとしていました。そんな甲州ワインに新たな希望の光をもたらしたのが、『甲州きいろ香』です。その誕生のきっかけは、ノン・ボルドーで育てた上野園の甲州から、鮮烈な柑橘の香りが発見されたことでした。

それまでの甲州とは明らかに違う香りの発見。その驚きの体験をはじめとした『甲州きいろ香』誕生にまつわる様々な秘密を、この日の朝、山梨県から駆け付けた上野自らリアルにお伝えすると、会場内にはたくさんの驚きと感心の声が上がりました。

また、この日は「キュヴェ・ウエノ」フォーカスということで、テイスティングワインも、ウエルカムスパークリングワイン『日本のあわ 勝沼甲州』以外はすべて「キュヴェ・ウエノ」。『甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2014』『甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2013』だけでなく、今や入手不可能な『甲州きいろ香 オマージュ・ア・タカ 2012 マグナムボトル』、そして上野園のマスカット・ベーリーAのみで造られ、ワイナリー限定で発売された『山梨マスカット・ベーリーA キュヴェ・ウエノ 2013』『山梨マスカット・ベーリーA キュヴェ・ウエノ 2011』と、「キュヴェ・ウエノ」だけで5種を取りそろえました。

これだけの種類をそろえ、バーティカルでテイスティングするというのは、上野自身も初めての経験。しかも、ヴィンヤード・オーナー上野自らが、その年の作柄を解説しながら、皆様とともにテイスティングしコメントしていくという、今回限りの貴重で、豪華極まりない時間となりました。

また、セミナーの中でも皆様が特に楽しみにしているマリアージュ。「キュヴェ・ウエノ」に敬意を表して米川が選んだ今回の料理は、さらにシェフが、よりワインに合うようにアレンジを加えてご提供いたしました。『甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2013』とのマリアージュをイメージした「富山県産白海老と大葉のフリットwith カボス」は、暑く素晴らしい年だった2013年の気候の恩恵を存分に受けたふくよかさが魅力の『甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2013』と、素晴らしいマリアージュを見せました。

また「シェフ特製キッシュ〜ベニズワイガニ・アボカド・ハーブ」は隠し味にライムが絞ってあり、柑橘の香り豊かな『甲州きいろ香 オマージュ・ア・タカ 2012 マグナムボトル』に寄り添い引き立て合う、“渾然一体”としたマリアージュでした。

また、今や超希少品である『山梨マスカット・ベーリーA キュヴェ・ウエノ 2011』には、米川が今のメニューの中で最も気に入っているという自慢の肉料理「グリュイエルチーズをまとった子羊のグリル」を合わせました。そのままでも、またトーキョー・ゲスト・バル自慢のシーズニングを使用してもそれぞれにおいしく、マリアージュの印象も変わるため、皆様お好みのマリアージュを試しつつ、笑顔でご堪能されていました。

今回は少しだけ、上野のテイスティングコメントもご紹介いたします。

『きいろ香 キュヴェ・ウエノ2014』

8月に大雨が降り、また日照量も平年より大きく下回り、2014年はとても難しかった年でした。きいろ香は柑橘の香りと味わいが特徴ですが、酸がありすぎてもよくないので、少し収穫を遅らせ、酸が落ち着くのを待った結果、素晴らしいワインとなりました。このワインは濾過をしてないのですが、オリは出ていません。私は無濾過であってもオリがあるワインはよくないと思っています。このワインは、タンクがきれいになるまで待って詰める工夫をしています。60%くらいの上澄みを使用する贅沢なつくりのワインです。和柑橘の香り文旦(みかん)の香りがあります。このワインは、ワイン・スペクテイターで87点もの高得点をいただきました。これは、「very good」と評価される点数、で、なかなか取れない素晴らしい点数です!さわやかな柑橘の酸味が際立つ、繊細な味わいです。

『きいろ香 キュヴェ・ウエノ2013』

とてもとてもいい年です!とても暑かったため、早摘みのブドウの仕込みは例年より早い8月に始まりましたが、「きいろ香 キュヴェ・ウエノ」のブドウは、香りを重視すると酸が低くなり、いいワインにならないため、香りと酸のバランスがちょうどよくなった9月12日に収穫しました。『きいろ香 キュヴェ・ウエノ2014』と比較すると、『2013』の方がより厚みがあり、酸が少なめで、飲みごたえのあるワインになっています。トロピカルな香りもあって、ふくよかさがより際立ちます。柑橘の酸味の中にやさしい甘さ。ミネラル感もあります。

今回も大盛況だった「シャトー・メルシャン テイスティング&マリアージュセミナー」。同じ名称のワインであっても年ごとにまったく違う味わいであること、熟成によってもまたさらに個性が出て、それぞれが素晴らしい別のワインであることが実感でき、ワインの奥深さを体験いただけたのではないでしょうか。
今後もワインの楽しさ、シャトー・メルシャンのおいしさをご体験いただく「テイスティング&マリアージュセミナー」を開催いたします。皆様もぜひご参加ください。お待ちしております!