畑から生まれる日本ワイン。

2017.10.05

日本ワインづくり140年を記念して、シャトー・メルシャン チーフ・ワインメーカー安蔵光弘がご案内してきた特別企画、最後となる10月のテーマは「テロワール」。はじめにブドウありき。畑はワインが生まれる大切な場所です。 日本ワインの注目の産地、山梨県と長野県の畑とワインを、造り手 安蔵光弘がご紹介します。

安蔵 光弘 プロフィール Mitsuhiro Anzo

シャトー・メルシャン 製造部長 兼 チーフ・ワインメーカー。1968年 茨城県水戸市生まれ。1995年 東京大学 大学院 農学生命科学研究科 応用生命工学専攻 修士課程 修了後、メルシャン入社。勝沼ワイナリー(現シャトー・メルシャン)配属。2001年ボルドーのシャトー・レイソン出向、同年ボルドー第2大学醸造学部にて利き酒適性資格(DUAD)取得。レ・シタデル・デュ・ヴァン国際ワインコンクールの審査員を2回務めるなど、海外でも経験を積み、2015年現職に就任。

(社)葡萄酒技術研究会 理事、エノログ(ワイン醸造技術 管理士)、山梨大学 ワイン科学士 認定委員(2008~)、 東京大学 農学部 非常勤講師(2009~)など、幅広く活動。 2014年には「洋酒技術研究会賞」受賞。著書に「等身大のボルドーワイン」(2007/醸造産業新聞社)がある。 日本ワインの原料となる国産ブドウの味わいを活かし、風土の個性を表現し、世界的にもレベルの高い繊細な“日本の食にマッチするワイン”づくりを目指して、日夜たゆまぬ努力を重ねている。


適地・適品種のワインづくり

テロワール(Terroir)とは、「土地」を意味するフランス語 terre から派生した言葉で、「土壌」と訳されることもありますが、実際にはフランス語独自の単語で、栽培地の気候や風土など、ブドウを取り巻くすべての自然環境を意味します。

私たちシャトー・メルシャンは、「適地・適品種」という思想のもと、それぞれの土地で生まれたブドウの個性を最大限反映したワインづくりを心掛けています。それだけに産地や畑は、ワインに表現される個性そのものといえます。

注目の産地、山梨県と長野県

現在私たちの栽培地は、秋田県、福島県、長野県、山梨県にありますが、中でもとりわけ多くのワインを産出しているのは、ワイナリーがある山梨県と長野県です。
(写真は山梨県勝沼地区「城の平ヴィンヤード」)

シャトー・メルシャンでは、特に山梨県で甲州やマスカット・ベーリー Aなど日本固有品種のブドウを、長野県ではシャルドネやメルローなど欧州系高級品種のブドウを多く栽培しています。長年の試行錯誤の末に、それぞれのテロワールに適したブドウを選んできたのです。

山梨県韮崎市「穂坂地区」

日本固有のブドウ品種、白の甲州と赤のマスカット・べーリー A の産地、山梨県韮崎市の「穂坂地区」。この地域のブドウからは、産地の個性を反映したワインができます。

南アルプスを望む丘陵地帯に広がる穂坂は、標高が山梨県内でもやや高く、同じ県内の甲州ブドウと比較して、フレッシュな酸味が強く、ミネラル感もしっかり感じさせる、個性豊かな甲州を産出します。

今回は、ワイナリーと関信越エリア限定で販売している『シャトー・メルシャン 穂坂甲州セレクテッド・ヴィンヤーズ 2015』を、DRINXのお客さまだけにお届けします。

山梨県産「マスカット・ベーリー A」

次に日本固有品種の赤ワインとして、穂坂地区や甲府市など山梨県内のブドウをバランスよく使った、『シャトー・メルシャン 山梨マスカット・ベーリー A 2015』をお愉しみいただきたいと思います。

もともとマスカット・ベーリー Aは、昭和初期に新潟県で作出された品種で、長きに亘り生食用兼醸造用のブドウとして親しまれてきました。ワイン用の生産量が増えてきたのは、ここ15年くらいのことですが、今や和食によく合う日本ワインとして、甲州と並んで人気急上昇中。キャンディのような甘い香りのマスカット・ベーリー Aが多い中、このワインは、イチゴの香りのある熟成感のあるワインに仕上げています。

大注目!長野県のテロワール

長野県には、長野県北部の千曲川を挟む「北信地区」、北安曇郡池田町の「安曇野地区」、上田市の「丸子地区」、そして塩尻市の「桔梗ヶ原地区」と、ワインファンなら誰もが一度はその名を耳にしたことがある、ブドウの産地がキラ星のごとく存在しています。

中でも今回お薦めしたいのは、上田市の丸子地区です。シャトー・メルシャンでは2003年、この地に自社管理畑として「椀子(マリコ)ヴィンヤード」を開園し、テロワールのポテンシャルを最大限引き出すべく、この畑から続々と新たな挑戦を始めています。

「椀子(マリコ)ヴィンヤード」の成果

標高600m、敷地面積20haの広大な畑では、メルロー、シャルドネを中心に、赤ワイン用ブドウとしてカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィヨン、シラーを。白ワイン用としてソーヴィニヨン・ブランなど、この地区ならではのテロワールを生かした品種にチャレンジしています。

強粘土質のこの畑で収穫されたワインからは、他の産地にはないスパイシーさや力強さが感じられます。自社管理畑として、これからのメルシャンの日本ワインづくりの重要な栽培地と位置づけています。開園から14年目となる今年、ブドウの樹齢も上がり、この畑から今後ますます上質なワインが誕生しそうです。

ロゼワインのスタンダードを目指して

そんな中でも、ここでは『シャトー・メルシャン マリコ・ヴィンヤード ロゼ 2015』をご紹介します。
フランスをはじめ、海外のワイン産地では、食事と合い、アウトドアにぴったりの辛口ロゼワインに注目が集まっています。「椀子(マリコ)ヴィンヤード」では、熟度の高い黒ブドウが収穫されますので、これらのブドウから日本の辛口ロゼワインのスタンダードとなるワインづくりにチャレンジしています。

メルロー、カベルネ・フラン、シラー他、この畑で穫れる赤ワイン用品種を使用し、果実感を大切に、厚みのあるロゼワインに仕上げました。まさに椀子(マリコ)ヴィンヤードのテロワールを味わえる逸品といえます。

ワインは農産物

シャトー・メルシャンでは現在、長野県塩尻市の片丘地区に、椀子(マリコ)ヴィンヤードに続く新たな自社管理畑を整備し、今年の4月に植樹式を行いました。
ワインの品質を担うのは、ブドウそのもののポテンシャル。つまり、「ワインづくりは農業であり、ワインは農作物」と私たちは考えています。

140年の歴史をもつ日本のワインづくりも、また世界のワインづくりも、始まりはすべて畑から。ワインを知るにはまず産地や畑の個性を知ることから始めましょう。
テロワールの個性を愉しむワイン、“日本ワインらしさ”とは何かを感じながらご賞味いただければ幸いです。


[今月のお薦め商品]

日本ワイン140年記念企画 シャトー・メルシャン テロワールを味わうセット

140年前、シャトー・メルシャンのルーツである日本初の民間ワイン会社「大日本山梨葡萄酒会社」が山梨の地に設立されて以来、日本のワインづくりを牽引してきたシャトー・メルシャン。その山梨県を代表する日本固有のブドウ品種「甲州」と「マスカット・ベーリー A」。
そして、「適地・適品種」の考えのもと、2003年にメルシャンが新たに開場した長野県上田市にある「椀子(マリコ)ヴィンヤード」。

今回は、山梨県のテロワールを表現した「甲州」と「マスカット・ベーリー A」、椀子ヴィンヤードで収穫される赤ワイン用ブドウ品種をアサンブラージュし、椀子ヴィンヤードのテロワールを表現した「ロゼ」の3本をセットにしてお届けします。
シャトー・メルシャンが自信を持ってお届けする味わい、それぞれの産地のテロワールをぜひお愉しみください。
DRINX限定セット 7,080円(税込)

シャトー・メルシャン 穂坂甲州 セレクテッド・ヴィンヤーズ 2015

【産地】山梨県韮崎市穂坂地区 【使用品種】甲州100%
【発酵】ステンレスタンク
【育成】ステンレスタンク(約5ヶ月)
【テイスティングノート】
輝きのあるレモンイエロー。レモン、ライム、かぼす、すだちなどのフレッシュで爽やかな柑橘の香りに加え、時間の経過と共に杏のような黄色く熟した果実の香りも現れます。口中、フレッシュな酸味と充実したミネラルを感じた後、骨格のある複雑な味わいが広がります。
【マリアージュ】
野菜のバーニャカウダや白身魚のカルパッチョなどとよく合います。

シャトー・メルシャン マリコ・ヴィンヤード ロゼ 2015

【産地】長野県上田市 椀子(マリコ)ヴィンヤード
【使用品種】メルロー、カベルネ・フラン、シラー、サンジョベーゼ、カベルネ・ソーヴィニヨン 他
【発酵】ステンレスタンク
【育成】ステンレスタンク(約5ヶ月)
【テイスティングノート】
鮮やかなピンク。イチゴ、ラズベリー、クランベリーのような赤い果実のニュアンスが感じられます。さわやかな酸味と程よいタンニンとがバランスよく調和した本格辛口のロゼワイン。アフターには、胡椒のようなスパイシーさも感じ取れます。
【マリアージュ】
酢豚や回鍋肉、エビチリなどの中華に加え、醤油・みりんベースの日常の家庭料理など様々な料理と。

シャトー・メルシャン 山梨マスカット・ベーリー A 2014

【産地】山梨県 【使用品種】マスカット・ベーリー A、ベーリー・アリカント A
【発酵】ステンレスタンク
【育成】オーク樽、ステンレスタンク
【テイスティングノート】
やや深みのある赤紫色。ストロベリー、ラズベリーのような赤い果実、綿菓子、キャンディーのような甘い香りに加え、樽育成由来のバニラ、アーモンドのニュアンスも見え隠れします。口中、適度な酸味と穏やかなタンニンを感じ、ミルキーな甘い味わいとのバランスが非常に心地よく広がります。
【マリアージュ】
みりんなどの甘い調味料を用いる肉じゃが、煮物などに加えて、油を含むチキンの照り焼きや酢豚などと。

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